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通常の3倍サンタクロース(Zクワブラ)


メリクリ第二弾です!!
なんか、よくわかんないクワトロ大尉×ブライト艦長です。

もう真っ赤なノンスリーブのサンタクロースとかまじシュールすぎてきついですね。
でもZのシャアなら結構ノリノリでやってくれると思うんだ。
で、
カミーユにドン引きされてればいいよ。
ブライトさんは優しいから「おにあいですね」っていってくれるよ
アムロは「落ちたな、シャア」って冷たい瞳を向けるよ!

でも
ブライトさんがクリスマス帽子かぶったら
アムロもカミーユもそわそわしだすに違いないですね
そりゃそうだ、
だって、
ぶらいとさんかわいいから。


というわけで、メリクリFDLです
よかったらどうぞ~



続きで本文




 


**通常の3倍サンタクロース**



クリスマスは誰にもやって来る。
それが、いつ戦闘空域に入るかわからないアーガマでも、だ。
ブリッジクルーはいつも通りのシフトではあったが、鶏肉やケーキが振る舞われ、ブリーフィングルームはファやシンタ、クムによって飾りつけがなされていた。

「クワトロ大尉お疲れ様です」

喧騒が去った食堂には艦長のブライトと、クワトロしかいない。
子供たちはもうすでに自室に戻り、大人も自分のシフトの待機に戻っていた。

「わたしはただプレゼントを配っただけだよ」

頭に赤と白のサンタ帽を被ったクワトロはサングラスの向こうで目を細めて笑う。
いつもの真っ赤な軍服姿に白いつけ髭をつけたクワトロのサンタクロースは、おとぎ話のなかのサンタクロースとはかけ離れた容貌だったけれど、戦争と言う非日常のなかでは程よい息抜きに見えた。

「クルーにも好評だったし、あなたにはやはり人を引き付けるものがある、流石です」
「買いかぶりすぎだよ、艦長」
「そんなことはない。カミーユもあんなに楽しそうにしてたんですから」

つけ髭を外してクワトロは、ブライトの賞賛に首を振る。
このサンタの衣装や食事を用意したのは、ヘンケンやエマ、クワトロの直接の部下であるアポリーやロベルトだった。
クワトロはただ回りに促されるままにサンタになりきりプレゼントを配っただけである。

シャアとしても、クワトロとしてもあまりクリスマスを祝ったことはない。
キャスバルとして妹のアルテイシアと過ごしたわずかな時間のクリスマスなど、スライドショーのような全くのフィクションにしか思えない。

「わたしはクリスマスを祝った記憶があまりなくてね。それなら艦長の方が家族がいる。経験はあるだろう」
「いえ」

今度はブライトが首を振る番だった。
結婚してからも別居が長いノア家である。
家族で過ごすクリスマスなど数えるほどしか記憶にない。

「お互い辛い人生だな」
「そうですね」
「ああ、艦長」

顔を見合わせて笑い会うと、なにやら思い出したようにクワトロが背中に担いだ白い袋を机に置いた。
がさごそと袋の中を漁るとクワトロは深緑のボトルを取り出した。

「これは、艦長に」
「わたしに?」
「この艦をよく指揮してくれたご褒美ということでこの不出来なサンタクロースからのプレゼントだよ」

ガラスに反射したクワトロとブライトの顔。
凸面で歪んだ二人の表情が笑顔に変わる。

「やはりあなたはすごい人だ」
「すごい?」

簡易厨房からワイングラスとコルク抜きを持ってブライトが席につく。
手慣れた様子で栓を抜くクワトロの手並みをじいっと見つめて、ブライトは何度目かの感嘆の溜め息をついた。

「サンタクロースが板についている」
「ただ赤いからさ」
「そうかもしれないが、そんな気遣い私には無理だよ」
「そうかな」

とくとくと柔らかい音を立てて注がれたワインを、二人で小さくかわした乾杯のあとに飲み干せば、苦味と共に甘さが体に広がっていった。



**


二人でひと瓶開けた頃にはサンタ帽の乗った金髪が机の上に突っ伏されていた。
いくら戦闘がなかろうとMS隊の指揮をとるのは気力も体力もいるのだろう。

「サングラスくらい外せばいいのにな」

素顔をなかなかさらさないクワトロに苦笑いを見せながらブライトはそのサングラスに手を伸ばす。
頭髪と同じ透けるような金の睫毛が縁取られた瞳は今は閉じられている。

いまなら。
横に座りその寝顔をのぞきこんだブライトに悪戯心が働くのは酔っているせいだろうか。
陶器のように白い頬にかかる金糸をそっとよけてその肌に唇を触れさせる。
触れるか触れないかの口づけを落とすと急に恥ずかしさが込み上げてきて、ブライトは自らの顔を手で覆った。

一体何をしているのだろう。
クワトロからキスを受けることはあっても自分からねだることも、施すこともない。
クリスマスだから、酔ってるから。
と自身に言い訳をする。

「……らしくない」
「本当に艦長らしくないな」
「酔っているのかもしれない……え?」

呟いた言葉は独り言として消えるはずだった。
それなのにかえってきた言葉にブライトは耳を疑った。
一人きりの食堂。同席した男はまだ夢の中のはずなのに。

「起きて」
「艦長があまりに可愛らしくてね」
「いつから」
「ずっと起きていたよ。寝ていると勝手に判断されたようだがね」

声のする方に顔を向ければ閉じられていた瞳がまっすぐブライトに向けられている。
その翡翠の瞳は宝物を見つけた少年のようにキラキラと輝いていて。

「全く人がわるい」
「艦長にだけ、さ」

ゆっくりとクワトロがブライトの頬に手を伸ばす。
その手のひらをブライトも避けることなく受け入れて、その冷たくなった手にすりよって体温をわけ合う。

「冷たいな」
「ならば暖めてくれないだろうか」

氷のように冷えた指先で普段は真一文字に結ばれた唇をすうっとなぞれば、そっと唇を開けてブライトは口内に導いた。







「大人ってやつは!」

食堂の入り口で、小さなプレゼントを持ったカミーユがぎゅっと拳を握りしめて、二度目のクワトロへのグーパンを目論んでいたのはまた、別のお話。
 
 

 


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