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ミニスカサンタの絶対領域(83コウガト)

メリークリスマスです!
まだ、クリスマスになってませんが、クリスマスss第三弾です。

83コウガトです!


お察しのとおり女装してます。
もちろんミニスカサンタです。
にあ・・・いませんよね、ふたりとも。
だって軍人だし?
でもその似合ってない感じがいいんですよ!

もう、パンパンの胸筋とか、ごつすぎる肩とか、
ニーソックス伸びきって透けてる!とか、したは男用の下着!
とか
似合わなくてなんぼです。
似合ってたら、女の子でいいんです。
女装なんだから似合わなくっていいのよ!


というわけで
女装しているのは、ウラキ少尉です。
ガトーがやったら似合っちゃうかもしれないからね。
あ、いや、どっちもどっちだごめん



続きで本文



 





**ミニスカサンタの絶対領域**




ハッピーメリークリスマス!とインターホンカメラの前で楽しそうに告げる顔を見て何か自分は違和感を感じなかっただろうか。
首から鎖骨にかけて露出された肌、二の腕まである真っ赤なロンググローブ。
聖夜なんていうロマンチックな響きに少し酔っていたのかもしれないと、玄関のドアを開いてガトーは後悔した。

「メリークリスマス!ガトー!」
「………」

ドアの向こうのコウが満面の笑みを浮かべて部屋に入ろうとした瞬間を狙ってガトーはドアを閉める。
勿論無言だ。

「ちょ、ちょっと待ってよガトー!」
「破廉恥でとんちきな輩など知り合いにいない!」
「コウだから!正真正銘コウ・ウラキだから!」

閉まるドアの隙間に寸でのところで脚を差し込みどうにかして玄関の中へと体を入れ込む。
玄関の奥のガトーは険しい顔を更に険しくしてため息をついた。

「その反応はなんだよ!」
「……呆れて物も言えん……なんだそれは」
「サンタだよ」

軍支給の黒いブーツを脱ぐとコウは廊下に上がる。
サンタと告げたコウは確かに赤と白の色合いの服を着ている。
クリスマスを祝うにはそれがあれば充分だ。

しかし、コウが着ている服は至って破廉恥であるとしか言うことのできない格好――裾に白いファーがついたサンタクロース風ミニスカワンピース――で。
短い裾から覗く足につけられた赤いオーバーニーソックスと二の腕まで覆う靴下と同色のロンググローブに、軍隊で鍛えた肉体はひどくアンバランスである。

「君は鏡を見たのか!」
「見たよ」
「なら!」

なぜ着用するのだろう。
伸びて薄くなった靴下、厳つい肩を更に強調するノンスリーブのワンピース。
華奢でも小柄でもない二十歳目前の男の体に不恰好な洋服だ。
鏡を見たなら来てこようとも思わないだろう。

イライラと青筋を立てるガトーを無視してコウはすたすたとアパルトメントのリビングに足を向かわせ、にこりとガトーに笑いかけた。

「ガトーの方が似合うと思ったけど、絶対嫌がるし、空気読んで僕が着たんだ」
「……」

読んだ空気の色が知りたい。
怒りがマックスに達するとなにも言葉にならないのだとガトーは感じた。
とりあえず、皺が増えた眉間を押さえて溜め息をつくしかない。

「ほら、ガトー。ケーキ持ってきたんです、ワインもあるんだからそんな所でつったってないでさ。こっちきなよ」

手に持った紙袋の中から綺麗にラッピングされた箱を並べるミニスカ姿のサンタクロースに、ガトーも追い返すことを諦め、また大きくため息をつきながら温かい照明の下のリビングへと足を向けた。




**
 



何だかんだ不平を言ってもガトーはコウに甘いのだ。

膝上の赤いワンピースを着たコウが部屋にいつくことを許し、用意したシャンパンとケーキを結局二人で食べることになった。

「その下はどうなっているんだ?」

アルコールに白い肌をピンクに染めたガトーがワンピースの裾を捲りコウの太ももをのぞきこむ。
あんなにも違和感を感じていた格好も数時間席を共にするだけですぐに慣れてしまう。
そうすれば、酒の力も相まって気になるのはスカートの下だと言うのは、後ろに撫で付けた銀糸が酷くストイックに見えるガトーもただの人…ひとりの男だと言うことを示していた。

「気になるの?」

まだワインの入るグラスを片手に菓子をつまむコウは、「こんな姿をガトーの部下が知ったら大変だろうな」と思わずこぼれ落ちそうになる笑いを堪えながら、まだ太ももを見つめているガトーに視線をやる。

(めくればいいのに)

イケメンかつ歴戦の英雄であるガトーだ。
女性のスカートの中くらい願い出れば女性の方から見せる場合もあるだろうし、同衾した際に幾度だって覗いたことはあるだろう。
それなのにいつまでも中学生のようにそわそわするさまにいつもの威厳は見えない。
見られてもコウが身につけている下着はただのボクサーパンツ(それでも一応勝負下着)だから恥ずかしいことはない。

「ボクサーですよ」
「女物ではないのか」
「それはいくらなんでも」

スカートの中身が解決すればスカートの裾から手を離しガトーは少し寂しそうに呟く。
その姿かなぜか心の奥を締め付けてコウはゆっくりとガトーとの距離をつめた。

「ガトーは女物履いて欲しかったの?」

ガトーの膝に手を添えて、顔を近づける。
まっすぐ瞳を見つめれば、無言のままだがゆっくりとガトーが首を振るのが見えた。

「ただの興味…だ。丈が短いからトランクスでは見えてしまうだろう」
「あぁ、そうですね…僕はいつもトランクスだから」
「それに女装家の面々は下着や靴までも女物と聞く」
「一回の女装にそこまでしませんよ」

四つ這いになれば、折った腰のせいでスカートの裾が上がり白い内腿が露になる。
近づいたコウとの距離にガトーが息を飲むのがわかり、そっとその体を押し倒す。

「あなたが興味を示してくれるならもっとちゃんとしてくればよかったな」

天井から降り注ぐ光にガトーが目を細めれば、眉間に刻まれた皺に口づけを落とす。

「それは遠慮しよう」
「何故?」
「想像できん」

唇の端を吊り上げて笑うガトーの両腕がコウの首に回される。

「可愛くなるかもしれない」
「それはないだろう。今でさえ似合っておらんのだ、そんなガタイじゃあ無理だろう」

ガトーを押し倒す腕は軍の訓練で余計な脂肪を切り取られたものだ。
ノンスリーブの袖から見える肩も、ミニスカートのむこうの脚も固いばかりで女性的とは言えない。

「酷いな、これでもあなたの彼氏なんですよ?お世辞でも似合うくらい言ってもいいじゃないですか」

似合わないことはコウ自信も重々承知していたけれど、少し寂しくなって唇を尖らせてため息をついた。
その姿が幼い顔立ちを更に幼く見せてガトーは艶のある黒髪をそっと撫でた。

「君に言う世辞など持ち合わせていない」

柔らかく向けられる視線。
不意にかけられる優しい言葉。
厳しいことも言われるがそれは全て自分の体の下に押し倒された美しい銀色の彼の本心かと思えばコウの口元は勝手に緩んで行く。

「だらしのない顔だな」
「ちょっと、ガトー!痛いですよ」

そんなに顔に出ていただろうか。
頬をつねられて眉間に皺が寄るのはコウの方だ。
まだ頬をつまむ手のひらに自分の手を添えて握りしめれば、ガトーの指はゆっくりと離れていく。

「痛くしたからな」
「本当酷いですよ」

もう一度ガトーの手のひらを床に縫い付けてその肩口に顔を埋めれば、ふわりとガトーの体から華やかなコロンが香った。

「サンタなのにプレゼントを渡さない君が悪い」

ぽつりとこぼされた言葉は、あのソロモンの悪夢とよばれる男には似つかわしくないセリフで。
コウは肩口に埋めていた顔を上げると、真ん丸い瞳を数度まばたきさせてガトーに視線を送った。

「待っていてくれたの?」

コウよりも年上の、大人の男だ。
クリスマスなんて子供のやることだと一蹴されると思っていたのに。
「君はサンタだろう?」
なんて言われてしまっては、コウの心臓は跳ね上がるばかりで。
あう前はどうかっこ良く手渡そうかと考えていたのに、結局全部見透かされてしまっていて。
どうにかして、驚かせてやりたいと空っぽの頭をフル回転させる。
用意した小箱を左手に握り背中に隠すと、「僕がプレゼント、」とそっとガトーの唇にくちづけを落とした。





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