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拍手ログ(夏神)

 拍手お礼ログ夏神です!










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夏神拍手ログ



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「あーまた眉間にシワが寄ってるよ、神崎くん」
 
 
椅子の背もたれに腕を組んで、後ろの席を見る夏目の白く細い指が、傷だらけの神崎の眉間に触れた。
ヤクザの息子で、石高最強の4人のひとりに数えられるほどの不良にも夏目は物怖じせず人懐こそうに接してきた。
 
「触んんじゃねーよ、お前でもボコるぞ」
 
「えー、じゃあ、ぼこられれば触ってもいいってこと?」
 
「そー言う意味じゃねー!」
 
ぎろり、と仲間の不良たちでさえも凍りつく冷たく鋭い視線を送ってみても、夏目はヘラヘラと笑いながらまた眉間のシワを伸ばすように神崎のおでこをさわり続ける。
 
のれんに腕押しとはこのことで、にらめばぶつかってくる、それでなければ逃げるという不良の中で夏目の存在は異質だった。
優男臭い容姿からはかけ離れた実力と殺気。
それを神崎は知っていた。自分よりも強いかもしれないという恐怖、いつ寝首をかかれるかわからない恐ろしさ。
 
それなのに、夏目はいつも変わらず神崎の散歩後ろを丁寧に歩いている。
 
 
「神崎くん、何難しいこと考えてるの?かわいい顔が台無しだよ」
 
 
そして散歩後ろを歩いていたかと思うと、次の瞬間には目の前にいて、肌が痒くなるような睦言を語りだすのだ。
何を考えているのだ。
問い詰めたとき、「神崎くんのことだよ」とにっこり笑われて脱力した経験があるからもう神崎はその問を夏目に向けはしなかった。
 
 
「かわいいってーのは、邦枝とかにでも言え」
 
「うーん、クイーン?あれはなんか違うんだよね」
 
「は?」
 
 
 
「やっぱ神崎くんが一番カワイイよ」
 
 
何かを噛み締めるように、また可愛いとつぶやいて満面の笑顔を見せる夏目に、自分が恥ずかしくなる必要なんか無い、と分かっていながらもどんどんと血液が集まって火照る体を神崎は持て余していた。
ほらやっぱり可愛い、と楽しそうに笑う夏目の視線から逃げたくて、「城山、ヨーグルっち勝ってこい!」廊下にいた手下にそう怒鳴りあげた。
 
 
 
 
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神崎一は不意に唇を奪われた。
 
学校の中で、不意に、同級生の男に唇を奪われた。
 
ふわりと触れた後熱い舌が割り込んできたとっさにはでかんだら相手は漸く諦めたのか、口はしから血を垂らしながら、いつもの優男風の笑顔で俺を見ていた。
 
 
「痛いなあ、神崎くん」
 
 
痛いのはあたりまえだ、痛くしたのだから。
あまりのことに声が出ない。
とりあえず、原因の男を睨みつけておくことだけは忘れない。
 
 
「何、してんだ、夏目・・・・・場合によっちゃあ・・・」
 
 
凄んでみても声が震える。
しっかり睨みつけているだろうか。
情けない顔なんて、東邦神姫のひとりとして出来るはずがない。
 
 
「うーん。噂で、神崎くんってああ見えてファーストキスもまだな初心だって聞いてさ、試してみたくなって」
 
 
悪びれる様子のない夏目に、神崎のペースは毎度崩れていく。
 
ねえねえ、どうなの?
と神崎より少し大きな体を猫背にして擦り寄ってくる夏目を引き離そうと身じろぐもがっつりと腕を組まれて身動き1つ取れずにいた。
 
 
「ねえねえ神崎くん」
 
「んだよ!この年でキス一つしたことねーのが珍しいってかあ!?ああぁ?」
 
 
石矢魔高校はほぼ男子校な不良高校だったし、硬派な家系の中で育った神崎には女性とめんと向かって話す、のは自分の母親か組員の連れぐらいで、自らに浮いた話なんか一度たりともでなかった。
 
 
「おめーが一番俺の側にいんだろーが、それくらいわかるだろ?あ?」
 
 
女と付き合うなんて姫川のような軟派な考えは持っていなかったし、今は一番東邦神姫というポジションが気に入っていた、それどころじゃなかった。
喧嘩して殴り合っていれば、性欲だって消えて亡くなったし、付き合うなんて頭になかった。
 
それを知っているのは石高に入る前からの知り合いの夏目には分かっていることだろう。
 
 
「フフ、まあね。知ってたんだけど、やっぱり直接聞きたいじゃない?」
 
「あぁ?」
 
「俺が神崎くんのはじめの男だって、さー」
 
 
ぷにっと夏目の指が神崎の唇に触れる。
言いたいこと、怒鳴りたいことがあったはずなのに、まっすぐな夏目の瞳と、触れられた指先に喉元まで出かかった言葉は体の中に引っ込んでいって、また、触れ合った唇の暖かさが蘇ってきて神崎は真っ赤になった。
 
 



 
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空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
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