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劉公嗣は子作りの仕方を知っているのか(昭禅)

 

長いタイトルでごめんなさい。
またも昭禅です。。。。

私の頭の中の司馬昭が劉公嗣が子作りの仕方を知らなかったらどうしようと騒ぐので聞きに行ってもらいました。

タイトルは困難なんですが、シリアスです。
蜀軍所属のおねえさまごめんね☆彡

だって、蜀って劉備いてこその蜀すぎてね・・・
劉禅も、劉備の子供だったから価値があったとしか思えないんだよ。。。。






ということで、続きで本文




 


**劉公嗣は子作りの仕方を知っているのか**





「なぁ、元姫。公嗣はこづくりの方法を知っていると思うか?」


のどかな春の日の午後。執務室の木管の上に頬杖をついて司馬昭はとなりに佇む王元姫に問いかけた。

「何を言ってるんですか子上殿。寝言は寝ているときにしてください」

書きあがった書簡をひろい集めて胸に抱える元姫は冷ややかな瞳からさらに凍てついた視線を投げかける。

「寝言じゃない」
「ならもっと質が悪いです」

言葉尻にも棘が見え執務を補佐する彼女の堪忍袋の緒もそろそろ限界のようだ。
書簡を抱えた細い指が彼女のいらいらを表すようにリズムよくこつこつと音を立てている。

「そんなに気になるのならご自分で聞きにいけば?」
「そうか!」

その手があったとばかりに握りしめられた筆を投げるようにして飛び起きた司馬昭は「聞いて嫌われても知らないけど」と後から付け加えられた言葉を聞くこともせずに自室を飛び出していった。






 
「それで、司馬昭殿は私が子の成し方を知らないと思っているのですね?ふふふ、おかしい」

「、知ってるのか?」

飛び出した司馬昭が向かったのは劉禅に与えられた執務室で。
飛び込みざまに問いかけた不躾な言葉にクスクスと声を上げながら劉禅は自らの手のひらを口元に当てて笑い声をあげていた。

「父と母が十月十日神に祈りを捧げれば、子は成される・・・・なんて。おとぎ話を私が信じていると思ったのです?」
「・・・あり得ない話ではないかと」

執務中だったにも関わらず、急な来訪者に丁寧に硯箱を片づけ茶と菓子を振る舞う劉禅は、またも不躾な質問をする司馬昭に呆れるでも怒るでもなく普段と変わりに笑みを送る。

「ふふふ、こう見えても私には妻もいたのですよ」
「張飛殿の娘の」
「ええ。ですから、どのようにすればできるかぐらい私にでもわかります」
「そうだよな」

自分で問いかけて、その答えに司馬昭は自分で傷ついていた。

劉禅を守る護衛の女武将が妻であることは話には聞いていた。
義兄弟の契りだけでは飽き足らなかった親たちが決めた婚姻とは言えど気分のいいものではない。

「まあ、でもそれは、本当に形式だけのものでしたから」

暗い表情の司馬昭に昔をなつかしむように少し寂しい目をした劉禅がほほえみを向けた。
手にした杯を両手で握れば、思った以上に力が入っているのか、形のいい爪を持つ指が真っ白になっている。

「本当にあれは、子供を作るためだけの行為でしかなかったのだから」
「公嗣」

窓の外、蒼天二舞う桜の花びらを見つめる劉禅の瞳は今にも泣きそうなほどで、司馬昭は字を呼んでその悲しげな横顔を見つめた。

「仁の世を続けさせるためには私の子が・・・いや、父の――劉玄徳の子孫がいると。彼女はどう思っていたかは今となっては察せられないけれど、私には・・・・・・」

杯に注がれた茶の水面に映る自分の顔を見て劉禅は目を閉じて数度顔を横に振った。

生まれついての皇帝。
周りの期待を過剰に背負い込んだ肩は重さでずっしりと下がっている。
悲しみを帯びたその横顔に司馬昭は力強くその細いからだを自分の胸中へと抱き込んだ。

「司馬昭殿?」
「それも、一つのやり方だ。だけど、公嗣は道具じゃない」
「生まれついての皇帝など、周りからみれば生きる道具にしかすぎないのです」
「でももう公嗣は」

抱きしめた劉禅の背中が司馬昭の太い腕によってわずかに反った。
筋肉も脂肪も付いていない線の細い肩に額を押しつけて司馬昭は奥歯をかみしめながら言葉を続けた。

「司馬昭殿が気に病むことはないのです」
「だけど」

白い指は雪のように冷たかった。
劉禅の過去を暴き追いつめた本人が苦しんでいる。
他人の痛みを背負い込んだ司馬昭を浄化するようにその痛みの持ち主は何度もその栗色の髪を梳いた。



「ならば」

外にはねるように癖のついた栗色の頭を毛皮のついた絹の外套の腕が抱きしめる。
穏やかな瞳を向けて。

「道具ではない交わりを、あなたが私に教えてください」
「俺が、公嗣に?」

ゆっくりと司馬昭が顔を上げればふだんと変わらない穏やかな笑みが視界に映った。
泣き出しそうな瞳を向ける司馬昭に「ええ」と頷いた劉禅の白い指が何度も頭をなでていく。

「今までの私を哀れむならば、籠から出してくれたあなたが、私に」
「公嗣」
「私は、男ですから、子を産むことはできぬが、それでもいいなら、」

縋るような瞳に、劉禅が慈愛に満ちた優しい言葉を贈る。
抱きしめる腕を解いて司馬昭もようやく悲しみから解き放たれたように普段の笑みを見せた。

 


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