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嗚呼、愛しのお兄様 ep.3(三清/拍手より転載)

 
拍手より転載です。

時系列はかなり前。
まだ付き合う前の、しかもep.1よりも前をイメージして、
まだ中学生くらいってことで妄想してます。

最近寝台車見ないですねえ。わたし結構好きなんですけど。
あの寝心地の悪いベッドがwww

と言っても1回しか乗ったことないけど





続きで本文


 

**嗚呼、愛しのお兄様 ep.3**


家族旅行に行くと両親と兄弟たちとともに寝台車に乗り込んだ。
連休中だったためか二等客室しかあいていなかったようで電車に揺られながら清正は固い寝台の二段目に横たわったまま低い天井を眺めていた。

下の段からは正則の規則正しい寝息が聞こえてくるが、どうも眠れない。
枕が変わるといけないから、ともたされた枕に顔を埋めてもがたんがたんとレールの上を走る僅かな振動が気になって目が覚めてしまう。
 
「神経が図太いバカはいいな」

何度か寝返りを打って体勢を変えても寝付ける様子は全くなかった。

「朝6時にはつくからちゃんと寝るのよ」と違う部屋に入っていった養母の声が聞こえる。
このままだと一睡もできずに朝を迎えることになりそうで、眠れなくてもいいからとぎゅうと固く目をつむる。

ガタンガタンとレールを進む電車の音を聞いて心を落ち着かせる。

(あいつは寝てるのかな)

目を瞑ればなおさえる頭で、向かいの二段ベッドの下段にいるはずの兄の顔を思い浮かべる。

小さい頃から清正は枕が変わると眠れなかった。
夜中に一人宿舎をうろつくとどこからともなく長兄の三成が現れ「明日眠くなるのいやだろう」と眠れない清正の手を取って自分の布団に入れてくれた。
どう言うわけか兄と一緒の布団で眠ると安心するのかどんな場所でも寝れてしまうのが今になっても不思議で仕方が無い。
さすがに高校に上がった兄に一緒に寝てくれともいえるはずもなく最近は旅行となれば眠りの浅い日が続く。

ガタンガタン。
寝台車は眠れない清正を乗せてレールの上をまっすぐ進んでいく。
はじめは何度か駅に止まっていたがそれも終わったようで、停車することもなく目的地まで進んでいるようだった。

(眠れない)

また寝返りを打った。
遮光カーテン越しに淡い蛍光灯の光がうっすらと見える。

また目を閉じて清正は闇の世界にこもる。


ぺたん。
わずかにスリッパの鳴る音がした。
方向的には三成が寝ている場所のようだ。
兄もまた眠れていないのかと思うと少し安心感が生まれ、一緒の寝台で眠れないと解っていながら三成が「眠れていないなら俺と寝るか?」と小さい頃のように声をかけてくれるのを期待している。

ここで寝台を出れば。
と妄想は膨らむが最近めっきり口が悪くなった三成を思えば「寝れないとはガキだな」なんて鼻で笑われたらと思うと怖くて清正はぎゅうと目を瞑り自分に与えられた寝台で身動き一つとれずにじっとしているしかできない。

ガタンガタン。
鉄橋にさしかかったのか、車輪の音がいっそう大きく聞こえる。
三成の足音もかき消されて兄がどこへ向かったのか清正にはわからない。

ギシ。
清正の寝台に続く梯子が音を立てた。
次の瞬間には顔の目の前にあったカーテンが僅かに開けられる音がした。


「何だ。心配をして見に来たが寝れてるではないか」

息のかかる位置から三成の声がする。
その瞬間心臓が飛び跳ねるように大きく波打ち始める。
心配そうな兄の声に「寝れてない」とすがりつきそうになる衝動を抑え布団の中でぎゅっと両手を握りしめた。

「眠れないと泣いていたが、大きくなったんだな」

少し寂しそうに兄が笑うのが解った。

「おやすみ、清正」

そして清正の乾いた唇をかするように何かがふれた。
そして何事もなかったかのようにカーテンが閉められ、電車の車輪の音にかき消されるように三成の足音が遠のいていく。


 
「ふ、え・・・・?」

ギシリと向かいの寝台に兄が移ったのが音だけでも理解できた。
驚きの声を上げて触れられた唇に指をはわせる。
まだ暖かいそこに血が集まっているように顔が熱い。

「ば、バカ野郎」



ガタンガタン。
電車は清正を乗せて進む。
また寝返りを打って顔を枕に押しつけた。
今日は一睡もできそうにない。

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1900/04/14
職業:
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自己紹介:
空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

支部にも同時にUPしています。
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