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夜桜乱舞(宗清)

 
桜が満開ですね!!

わたしは来週花見なんですが、散ってしまわないかが心配ですwww
自粛とかクソ喰らえだ!
ということで、ガッツり地元で飲み明かしますwww

わたしは桜はソメイヨシノより、白い山桜が好きです。
あの清楚(?)な感じがいいですね。

あと、八重桜も好き。
桜餅みたいで美味しそうですもの。



というわけで久々の宗清です。
クッソ甘ったるいというかなんかうぎゃああああああって、書いててなりました。
きっと宗茂さんがいけないんですね。

ほんと、なんかうちの宗茂さん、キモさが・・・
なんでだろう、なんで他所様の宗茂みたいにイケメンになんないんだろう…

え?
書いてるひとが悪い?
ですよねー^q^



続きで本文



 


**夜桜乱舞**



誘いはいつも唐突でその言葉は清正の予定など丸無視である。
夕餉の時間を過ぎた頃に屋敷にやってきた濃紫の着流しの男は藤色の風呂敷に包まれた酒瓶を掲げて楽しそうに唇をつり上げた。

「花見に行こう、清正」

すでに日はとっぷりと落ち、東の山間から霞に煙る月が顔を出そうとしている。

「こんな時間からか?明日なら仕事がないからでかければいいだろう」

玄関を通らず、直接清正の部屋を望む庭に現れた宗茂は草鞋のひもをゆるめることなく縁側に座り込んで、まだ居室にいる清正に陽気な声をかけた。

「明日ではだめだ」
「なんでだよ」
「今日がいい」

風呂もすませてしまったからもう外出する気はないと言外に伝えようとしても宗茂は聞く耳を持たない。
草鞋なら一足持ってきたから、と懐から草履取りをしていた頃の太閤よろしく藁でできた履き物を取り出せば、もう清正が拒否することはできそうになかった。

「俺が懐で暖めておいた」
「確かにぬるいな。だがこれは冬にやるからいいんであって、今の季節じゃ不快なだけだぞ」

人肌に暖められた草鞋に足を通せばその生暖かさに清正が眉間にしわを寄せる。
紐を結ぼうとかがめば庭にいた宗茂がしゃがんでその筋肉質の清正の足を手に取り丁寧に編み上げていった。

「一人ではける」

行間を読もうとしない宗茂には言葉にしない気持ちは通じない。
俺がやりたいんだ。
とかがんだ膝に履きかけの足を乗せられて子供のように支度をされれば羞恥心で体が火照るのがわかった。

「全く仕方ない奴だな。おまえは」
「清正にだけだ」
「はいはい」

愛想はよいが決して世話焼きではない(どちらかといえば世話を焼かれる方が得意な)宗茂がこうして膝を折ってあれこれ甘やかすのは自分にだけだと清正にもわかっている。
出会いはじめは恥ずかしさとむずがゆさに差し出される腕をどうにかしてふりほどこうとしていたが最近はそれも無意味と悟ったのか、はたまた清正自身がそれを享受するのになれたのか宗茂のやりたいようにさせていた。

「で、こんな暗い中桜なんて」
「今日は満月だからな。月明かりで眺めるのも一興だろう」
「おまえにもそういうのわかってるんだな」
「おまえよりは理解してるつもりだぞ」

夜半に単の着物では寒かろうと襟巻きを携えてきたものの日が落ちた後も、昼間の熱がこもった東風が吹き抜ければそれも必要なさそうだ。
肩が触れるかふれないかの位置で二人並んで歩く。
暗いばかりだと思っていた畦道も後ろから照らす月明かりのおかげで二人の影もわかるほどには明るかった。
菜の花が咲きみだれる春の道を進めば、だんだんと草影に白い花びらが混じり出す。

「ほら、もうあそこだ」
「おお、結構な大きさだな」

小高い丘の上。
二人の歩く道の先に大きく枝を張った桜が見えてきた。
周りには桜も、ほかの樹木もなく、丘陵を覆う菜の花の黄色と薄くあけに染まった花びらがぼんやりとした月影に浮かび上がった。

「俺の父の代からあれくらいの大きさらしい」
「へえ。神世の頃からあるのかもな」
「木花咲耶姫の生まれ変わりだとも」
「本当か?」
「いや、今俺が作った」

菜の花の道を通って木の麓に立つ。
その幹は太く芽吹いてから今までに流れた時間の長さの果てしなさが伺いしれた。
真白に近い花弁が暖かい風に引かれる旅に雪のように舞い散る。

「壮観だな」
「だろう?昼間とは比べものにならないくらいに美しい」
「そうだな」

大きく枝を伸ばした桜を見上げる。
風に踊るように揺れる花花は舞い上げられる度にその一つ一つに意志が宿ったように夜空で踊っているようだった。

「ここの桜の花びらの色がおまえの髪の色ににていてな。どうしてもおまえに見せたかった」

宗茂の指が髪の毛に張り付いた花弁をつまみ上げる。
月明かりに照らされたそれはわずかに薄紅色に輝く銀色に見えた。

「そうか?」

短く切られた前髪を摘み清正は宗茂に問いかける。
白銀に近い髪の毛。
短く切ってしまった他事分ではみることは難しい。

「ああ。きれいな銀色だ」

桜の花びらを月明かりにかざしながら笑う宗茂がなにをきれいだといったかはわからない。
少し高い宗茂を見遣る。
彼の広い肩にも花弁が落ちたのが見えて、清正もその一つを摘み、目の高さに透かした。

「俺にはおまえの甲冑の色に見えるがな」
「ほう?」
「完璧な銀じゃないだろう?少し赤みがあって・・・・それに、」

思い浮かんだ言葉が少し恥ずかしくなって言葉を濁す。
首筋を赤らめてうつむけば桜ばかり見ていた宗茂の瞳が自分に向けられたのがわかった。

「それに?」

うつむいた顔をのぞき込むように宗茂がかがんでこちらを見ている。
笑われるか調子に乗るだけだと思い言葉にしたくないが、舞い上がる花びらが、二人を包むように風に乗って踊れば、夕闇に街の灯りさえも見えなくなり、宗茂と二人普段とはかけ離れた異界にきたきがして意固地な自分の心が少しだけ解けだしているように思えた。

「この桜がおまえに似ているなと思っただけだ」
「俺に?」
「ああ。堂々と根付いてる様と、美しさがな」

「ほう」

返されたのは本当に短いため息みたいな言葉だった。

「ならば」

桜と清正の間に宗茂が割り込んだ。
桜を見上げていた清正の瞳は自然と宗茂に向けられて。
自分が放った言葉に今更恥ずかしさを覚えたのか顔を背けようとしたが宗茂のまっすぐな瞳がそれを許さなかった。

「俺をまっすぐ見ろ。桜というなら。おまえのその瞳で桜を愛でるように俺だけを見ろ、清正」
「・・・相変わらず強情だな」

自信たっぷりのその言葉に思わず吹き出しそうになるのをこらえて宗茂を見つめた。

目が離せるわけがない。
凛々しくそれでいて美しくもある強さから清正が目を背けることができないのは宗茂だってわかっているだろうに。
だから他のことばは返さなかった。
また強く風が吹き抜けて、夜空に銀の花びらが舞い踊った。

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空知椎音です。
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こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

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