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押入軍師(三左)

 
左近を押入れに入れて飼ってみたいです。

暗闇と恐怖でおかしくなった左近をひたすらに愛でるおかしな殿。


そう言うの大好き。







続きで本文





 


 
特に何か大きな過失があったわけではない。
ただの気紛れだ。
気紛れにしては手酷い行為であるとは自身でも理解していたが、欲望は理性をふりきって飛び出して行く。


正座をして項垂れる家臣を見下ろして笑う。
綺麗に笑えているかなど関係なかった。

「殿…すみません」

信楽焼の茶碗を割ったことなどどうでもいい。
しょんぼりとした表情の男の落ちた肩の向こう、艶やかな黒髪からわずかに見える白いうなじが綺麗だった。

「左近、これは仕置きだ」

唇を舐めて呟いた。
左近の長い髪をつかんで引きずれば女のように泣き叫んで抵抗する。
もはやそんな態度さえ欲望をおしあげるためだけのものなのに。

「俺がいいと言うまで反省だ」
「殿!どうして!」

絶望に青ざめる肌。
涙で腫れた瞳。
今すぐに床に押し倒し組伏せて引き締まった筋肉を纏う身体を汚したいのをおさえて左近を押し込んだ襖を閉めた。




**押入軍師**




「左近飯だ」

盆に食事を乗せて押入れの襖をゆっくりと開く。
左近を押入れに詰め込んで10日が過ぎた。
はじめのうちは床を叩き壊すかのように暴れ三成を詰る声をあげていたが、猿轡を噛ませ手足の自由を奪い半日暗闇の中に閉じ込めれば、抵抗する気は失せたのか最近は騒ぐこともせず従順なまでにおとなしい。
左近のいる押入れの戸を三成が開けるのは三度の食事と風呂、そして睡眠の時間だけだ。

その他の時間は暗闇の中にしまいこむ。
つまり左近の生活の大半が狭く暗い押入れのなかだった。

「殿、」

押入れをあければ膝を抱え丸くなった左近が弱々しい声をあげる。
三成を恨む声ももうなく、扉を開けるたびに甘く殿と言葉を漏らしひとまわり以上小さな主の身体に腕を回してすがり付く様は例えそれが恐怖と不安によって刷り込まれた感情だとしても心地がよい。
左近には自分が必要だと認識させるように飴と鞭を使いこなす。

「どうした左近。甘えただな」
「ひとりは、嫌です」

冷えきった指先を真っ白になるまで握りしめ不安げな声で呟く。
この一週間で左近は三成の機嫌を損ねると押し入れに閉じ込められる以上の仕置きを味わった。
左近の言葉ひとつ、動作ひとつも三成への恐怖に押し込められていた。

「俺がいるではないか、」

左近の腰を抱き寄せ三成が不安そうな左近を見つめて笑う。

左右対称に引きあげられた赤い唇。
瞳は欲望で暗く濁り形だけの笑みで左近を見つめている。

ひどく欲望に歪んだ醜い笑顔だと言うのにかけられた言葉からもう一人きりではないと解ると細く白い主人の首筋に毛むくじゃらな腕を回しすんすんと鼻を鳴らしながら顔をその歪んだ主人の胸に埋めた。

「殿は左近をひとりにしませんか?」
「俺がいつ左近を一人にした」

震える腰に三成は手を回す。
一回りも大きな体を支えるのは辛いものがあったがすりよる暖かな体がいとおしく、また何物にも変え難い甘い重さである。
不安そうに鳴く左近の黒髪を撫で問いかけにまた問いを被せる。

不利な質問は返さない。
素晴らしい主人と刷り込ませ、なつかせるために。

「押し入れに」
「あれは左近が悪いのだ。俺が優しくしようとしたのに」
「殿、押し入れはもう…」

深いため息を態とらしくついてみれば、また機嫌を損ねたのではないかと肩から膝から震えだし、声は今にも涙を溢さんとする瞳を堪えるように必死で。
三成の着物の裾を握る指が白く変色し額には汗がにじんでいた。

「左近が言うことを聞けば仕置きの必要がなくなるが?」

上から逃げ道を塞ぐように言葉を続ける。
ほしい言葉を相手の口から相手の意思で吐かせるように。

「殿の仰せのままに」

肩口に額を埋めた左近が弱々しくも言葉を返した。
堂々たる左近の姿はなくただ主人の折檻に怯える一匹の草食獣がいるだけで。

「いいだろう」

満足そうに口を緩めて笑い左近の黒髪に指を絡めた。
口許に半円が描かれる。

すがる背中を思いきり抱き締めてあやすように拍をとって体を揺する。



「その言葉、忘れるなよ」



左近。
と甘く暗い声で名前を呼ぶ。
真昼の室内は、押入れの中よりもずっと昏かった。

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空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
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