一畳ブログ
空知椎音の妄想を書きなぐる場所です。
801的・同人的要素が強いので、注意してください。
この世のあらゆるものとはまったく無関係な唯の妄想です。
苦手な方はゴーバックプリーズ。
画面からは801mm離れて見やがって下さい。**一部に18歳以上の大きなお友達用の閲覧物があります。18歳未満のお友達は見てはいけません**
な ま え (理侘)
またまたミク転載。
侘はツンツンツンツンデレデレ。
理一さんはエロテロリストで、ナチュラルたらし。
侘はツンツンツンツンデレデレ。
理一さんはエロテロリストで、ナチュラルたらし。
*** な ま え ***
「あんまこの名前好きじゃねえんだよ」
日本酒を傾けて言った。
「そうか?ナツキは素敵だって言ってたけど」
「あいつは昔から盲目すぎんだよ」
「そうだけど」
昔、この大きな部屋についたてを立ててふたりの部屋にしていた。20年以上前のことだ。絶対についたての向こうには行かなかったのに、ついたての向こうの相手が手に取るように解った。
今ふたりの間には、衝立はなく台所からくすねてきた日本酒の一升瓶と透明なグラス。
「おじさんの名前って、どんな意味があるの?」無邪気な顔をしていた少女に漏らした自分の由来。
雪の降る日に庭をさしていった、「あそこに落ちている花だ」と。雪の上には真っ赤な肉厚の花弁に黄色い花粉を纏わせたおしべ。花びらを散らすことなく吹きに落ちる花。
「武家の家の子供には向かない名前だよ」
「養子なのに?」
「それでも」
無くなった義母は武家の出だけあって、凛と厳しい人だった。
その武家の子にはふさわしくない、不吉な名前だといったのが誰だかもう覚えていなかった。
花ごと落ちるその花は、打ち首を印象付けるのか武家ではあまりすかれていない。むしろ、忌むべき花だ。
誰に、いつ言われたかもしれない――もしかしたら理由を知って自分が思い込んでいるだけかもしれないその記憶が、心の奥に刺さって抜けない。
並々注がれた寒露に目を落とす。
時折、夢を見た。その名を持つお前はふさわしくない、ココから出て行け、と義母が、同じ年の甥が指差し笑う夢を。酷い被害妄想だ、嗤いたいのに笑えない。
「少なくとも俺は嫌いだよ、この名前。お前みたいにわかりやすいのがよかった」
「俺?」
となりに座る男が顔を向けた。酷く驚いた様子で。
「うん」
「そう?俺もこの名前好きじゃないけどな。姉さんと一文字しか違わないなんて、かっこ悪い」
「へえ」
「それに、本家の長男って感じて嫌いだ」
上田を離れ、40過ぎても東京で一人暮らしを謳歌する男は子供っぽく言葉を紡ぐ。
「案外子供だな」
「お前こそ」
それを指摘すれば、すぐに返され、お互いに笑い合った。
学生時代は――ここに再び戻ってくるまで、この同じ年の甥とこんなにも言葉を交わすことは無かった。相手を知る時間もなく、お互いに近づかないようにとおざけあってすごしてきた。
伸ばせが指が触れ合う、そんな距離に体を置いたことさえなかったのに。
こそばゆい感覚が耳の奥を走り、目を伏せたままそっと頭をかいた。
「でも、」
「ん?」
「俺はお前の名前好きだけどな」
訪れた静寂を切り裂いたのは低く柔らかい声。
驚いて顔を上げると、月を背負い穏やかに微笑む男。
「俺は嫌いだ」
「でも俺は好きだよ」
「・・・俺は、」
嫌いだ、と呟こうとした言葉は近づいてきた熱い唇に息と共に吸い込まれて、小さな吐息が漏れるだけだった。
「好きだよ、」
名前と、俺とどっちだ、と聞こうと思ってその言葉をそっと飲み込んだ。
聞いたら負けな気がした。
「あんまこの名前好きじゃねえんだよ」
日本酒を傾けて言った。
「そうか?ナツキは素敵だって言ってたけど」
「あいつは昔から盲目すぎんだよ」
「そうだけど」
昔、この大きな部屋についたてを立ててふたりの部屋にしていた。20年以上前のことだ。絶対についたての向こうには行かなかったのに、ついたての向こうの相手が手に取るように解った。
今ふたりの間には、衝立はなく台所からくすねてきた日本酒の一升瓶と透明なグラス。
「おじさんの名前って、どんな意味があるの?」無邪気な顔をしていた少女に漏らした自分の由来。
雪の降る日に庭をさしていった、「あそこに落ちている花だ」と。雪の上には真っ赤な肉厚の花弁に黄色い花粉を纏わせたおしべ。花びらを散らすことなく吹きに落ちる花。
「武家の家の子供には向かない名前だよ」
「養子なのに?」
「それでも」
無くなった義母は武家の出だけあって、凛と厳しい人だった。
その武家の子にはふさわしくない、不吉な名前だといったのが誰だかもう覚えていなかった。
花ごと落ちるその花は、打ち首を印象付けるのか武家ではあまりすかれていない。むしろ、忌むべき花だ。
誰に、いつ言われたかもしれない――もしかしたら理由を知って自分が思い込んでいるだけかもしれないその記憶が、心の奥に刺さって抜けない。
並々注がれた寒露に目を落とす。
時折、夢を見た。その名を持つお前はふさわしくない、ココから出て行け、と義母が、同じ年の甥が指差し笑う夢を。酷い被害妄想だ、嗤いたいのに笑えない。
「少なくとも俺は嫌いだよ、この名前。お前みたいにわかりやすいのがよかった」
「俺?」
となりに座る男が顔を向けた。酷く驚いた様子で。
「うん」
「そう?俺もこの名前好きじゃないけどな。姉さんと一文字しか違わないなんて、かっこ悪い」
「へえ」
「それに、本家の長男って感じて嫌いだ」
上田を離れ、40過ぎても東京で一人暮らしを謳歌する男は子供っぽく言葉を紡ぐ。
「案外子供だな」
「お前こそ」
それを指摘すれば、すぐに返され、お互いに笑い合った。
学生時代は――ここに再び戻ってくるまで、この同じ年の甥とこんなにも言葉を交わすことは無かった。相手を知る時間もなく、お互いに近づかないようにとおざけあってすごしてきた。
伸ばせが指が触れ合う、そんな距離に体を置いたことさえなかったのに。
こそばゆい感覚が耳の奥を走り、目を伏せたままそっと頭をかいた。
「でも、」
「ん?」
「俺はお前の名前好きだけどな」
訪れた静寂を切り裂いたのは低く柔らかい声。
驚いて顔を上げると、月を背負い穏やかに微笑む男。
「俺は嫌いだ」
「でも俺は好きだよ」
「・・・俺は、」
嫌いだ、と呟こうとした言葉は近づいてきた熱い唇に息と共に吸い込まれて、小さな吐息が漏れるだけだった。
「好きだよ、」
名前と、俺とどっちだ、と聞こうと思ってその言葉をそっと飲み込んだ。
聞いたら負けな気がした。
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プロフィール
HN:
そらちしいね
年齢:
124
性別:
女性
誕生日:
1900/04/14
職業:
事務員
趣味:
妄想
自己紹介:
空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。
支部にも同時にUPしています。
(10932のみ支部限定)
現在視聴中(ツイッターリアタイ実況)のものは匿名、単車魔法使いです。
アニメ見れてないなあ・・・
お気軽にお声かけください!
リンクは女性向け同人サイト様に限りリンクフリーです。
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