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行ってくる、そう言った笑顔で(ギルッツ)

ミクシに乗せていたもの転載。

一応、統一話なんですけど。。。。


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エリゼ=半同棲(同居)
notフラルー
10/2深夜



****行ってくる、そういった笑顔で****



自宅のTVは明日に迫った再統一の話題ばかり流していた。
東西に隔てられた友人、親戚、恋人、家族、様々な人たちが分断の象徴だった灰色の壁の前で抱き合って泣いている。

「長かった?」
「そうだな、短いと言ったら嘘になるが…」
「ん?」
「半世紀ほど前だというのに、あの日の兄さんの顔が今もありありと思い出せるんだ」
「そう」

ルートヴィッヒが呟くと一緒にTVを見ていたフランシスが楽しそうに笑っていた。

見つめる画面。
これはまだ公式な統一を意味しているわけじゃない。明日、兄弟でペンを交わすまで、兄は“オスト”で自分は“ヴェスト”なのだ。

「ジルもルーイもお堅いねえ」
「フランツ、お前が適当なだけだ」

ワインとビールを二人で空け、気づいたら時計の針は二つとも天辺に近づいていた。

ヴィー

インターホンがなる。真夜中に。寂しがり屋のフェリだろうかと、酒に少し酔った身体を律しながらドアを開ける。

「全く、時間を選んでこい。フェリシ……っ!!」
「よ、ヴェスト…じゃなくて、ただいま、俺のかわいいルッツ」

「に…兄さんっ!!」

そこには半世紀壁で隔たれあうことの出来なかった東ドイツ・ギルベルトが立っていた。
黒のTシャツに支給品と思われるカーキのパンツ。最後に分かれたとき、彼は親衛隊の服をきていて、身なりは違えども、「ただいま」そう一言呟いたその笑顔は、半世紀前「行ってくる」とイヴァンに従って消えていった時のままだった。

深紅の瞳が優しく自分を見つめる。変わらない瞳が懐かしくてルートの青い瞳からは涙が止まらなかった。

「泣くなよ」
「明日になるって…」
「その明日に一番最初に会いたかったんだ、ルッツ」
「兄さんっ…」

涙で視界が滲む。
あのときとは違う、うれし涙だ。
少しやつれた兄の首筋に頭を埋めるように抱きついた。

「まだ兄さんの部屋あるんだ。泊まっていかないか?」
「勿論だよ、ルッツ」

そう言って促すように玄関の中へ誘った

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年齢:
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女性
誕生日:
1900/04/14
職業:
事務員
趣味:
妄想
自己紹介:
空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

支部にも同時にUPしています。
(10932のみ支部限定)

現在視聴中(ツイッターリアタイ実況)のものは匿名、単車魔法使いです。
アニメ見れてないなあ・・・

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