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三親等(理侘)


家計図って、「とうしん」なのか「しんとう」なのかわかんなくなってくる。

「さんとうしん」はドラえもん。
「さんしんとう」は理侘。

こう覚えればいいんですねwww



というか、近親相姦ものだと取り敢えずあるべたなものを。








三親等






「侘助、好きな子はいる?」

まだ、法律も、常識も知らないほど幼い頃のことだった。
いつものようにふたりで縁側に体を寄せ合って過ごしていたそんな幼い頃。
線も細くて、頭半分ほど小さい侘助を見つめて問いかける。

「おれ?理一が好き。」

「僕?」

「うん。理一が一番好き」

「僕も侘助が一番好きだよ」

誰がすきかと問いかければ屈託のない笑顔を見せて自分の名前を呼ぶ少年がいとおしかった。
クラスのかわいい女子よりも、祖母に似て美人ぞろいだといういとこたちよりも。

「じゃあ大きくなったら結婚しよう」

幼い子どもたちにとって法律とは、家でのしきたりだったり、学校での決まりごとだった。
大人たちの作った常識や法律なんてそんなもの知る由もない。

少年というのは歳の割りに幼く、夢を見やすい。
それに比べ少女は早熟で、すぐに大人になっていく。

「好きな人ができたら結婚するのよ」
そういつかひとつ年上の姐やいとこたちが話していたことを理一は幼いながらに覚えていた。

「うん」

だから理一は隣に座る少年に告げた。
「結婚しよう」と。
理一は侘助のことが好きだったし、侘助も理一のことが好きだったから、結婚するのは至極当然なことなのだ。
ふたりの夢見る少年は、そう強く思った。




「約束だよ」

そっと縁側の木の上でお互いの小さな掌を握り合う。
ただそんなちっぽけな約束だった。










「…なんて事もあったな」

「懐かしいな。いくつの時だよ」

宴会の喧騒から離れた縁側でふたりで並んでビール片手に懐かしい子供の頃の思い出を話す。
あの頃も今のようにお互いに並んで上だの山を見つめていた。

「あの頃は好きになれば結婚できると思ってた」

「そうだな。姉ちゃんが叔父と甥はダメって決まってるって言ったとき侘助大泣きしたもんな」

「うるせー」

口をとがらせる相手にははは、と笑いながら空を仰ぐ。

あの頃と違ってしまったのは、ふたりとも大人になったということだけだ。
大人になって世間の常識や法律や体裁というものを知った。
軽々しく結婚を約束することはおろか、好きと言う言葉すらうまく紡げない。

「なぁ」

「何だよ」

木枠におかれた掌の上に、理一はそっと自分の手を這わせた。
あの頃とはまったく違うごつごつした男の手だ。

「今でも結婚しないのは、結婚できない甥っ子が好きだから?」

10年所在不明だった叔父は、10年たっても独身のままだった。
それは、あのときの小さな約束を覚えてくれていたのだろうかと、理一は都合よく考えてしまう。

「うるせーな。そういうお前はどうなんだよ」

「侘助と同じだよ。結婚できない叔父さんがすきだから」

10年働きづめだった甥も、10年たっても独身のままだった。
それは、あの頃交わした小さな約束を女々しく守っているから。

「うるせーっ」

肩を引き寄せて耳元に囁けば真っ赤になって俯く侘助。
変わらない思いを守るため、この先へこの思いをつなぐため、理一は真っ赤になって俯いた唇に恭しく接吻した。



交わされた約束は、もう無邪気に守ることはできないけれど。

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空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

支部にも同時にUPしています。
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