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結婚前夜(兄金前提今+金)

 お久しぶりです!
と言ってもツイッターは毎日あらぶっていますが。

12巻発売おめでとうございますクライマーへんまじで感動しました









やはり福ちゃんのケツに頭突っ込む荒北さんで吹きますごめんなさい。

もう次の巻楽しみですね!死にますわたしたぶんしんじゃう。
たのしみすぎてつらい、です



今回もひどい妄想でごめんなさい。
兄と結婚することが決まった金城くんのもとに、音信不通になっていた今泉から電話が入る、ただそれだけです。

ほんと、今泉さんのかわいそうで残念で不憫なところが、大好きです!!!





つづきで本文




 





**結婚前夜**



PRRRRR.....

机の上に乗せておいた携帯電話がなった。荷物をまとめる手を止めてディスプレイを覗き込む。
知らない番号だった。
眉を寄せてい深死んでみても、機械的な音は止まることが無い。

「はい」
『もしもし、金城さんですか?今泉です。』

不審そうに通話ボタンを押せば懐かしい声。
最後にあったのは彼が卒業する時だった。その時よりも幾分落ち着いた声が金城の耳に響く。

「久しぶりだな。鳴子も小野田も連絡が取れないと言っていたが」
『すみません、今海外にいて・・・・金城さん、番号変えていなかったんですね』

今泉が海外にいるらしい、ということは彼の幼馴染の少女から聞いていた。しかし同じ学年で三年間一緒に走り続けていた仲間も詳細な場所はしることもなく、便りがなくなってからもう数年経とうとしていた。

「変える必要がなかったからな」
『それもそうですね』

明るい笑い声が聞こえる。
今彼はどこで何をしているのだろうか。
一年も満たない間だったが金城はエースとアシストとして今泉とレースを戦ってきた。苦しい練習も過酷なレースも常に一緒に走ってきた。
その時の今泉は荒々しくひどくささくれだっていた印象があった。
それなのに、何気ない会話をするこの電話越しの声は金城の聞いたことの無いような柔らかく落ち着いた声だった。

「みんな心配しているぞ」
『俺は元気だって、伝えておいてください。・・・・明日、あいつらに会うでしょう?』
「・・・・・あぁ、」

一瞬今泉の声に陰りが見えた。

明日は久しぶりに相補く自転車競技部が顔をあわせることになっている。

金城と、寒咲の挙式があるのだ。
連絡がつかない今泉には、実家に招待状を送った。本人に届くとは思っていなかっただけに金城は驚いたように言葉を漏らす。

「知ってたのか」
『親が、手紙を送ってきましたよ』
「そうか・・・・・」
『俺はいけません・・・・すみません」

小野田や鳴子だけではない、金城自身も今泉に会えることを楽しみにしていた。
卒業式はちょうど大学の合宿でいなくて会うことができなかった。卒業おめでとう、の一言を掛ける前に今泉は総北メンバーの前から姿を消してしまっていた。

「そうか、久々に会えると思ったんだがな」
『俺もあなたに会いたかった・・・・』
「俺もだ、今泉」

柔らかな声が耳を包む。
一緒に汗を流してきた頃が懐かしく頭の中をめぐった。

『金城さんにそんなこと言われるなんて思ってもいませんでしたよ。』
「お前は最高の後輩でアシストだ」
『ありがとうございます。俺もあなたに会えてよかった・・・・・・・・大好きでしたよ、金城さん』

電波がざらついたせいか、今泉の声がひどく歪んでいる。
泣いているのかと思うほど揺れる声に金城の昔の感情が目を覚ましていく。

「俺も、お前のことが好きだった・・・・あの時はこの気持にどんな言葉をつければいいか判らなかったが、今なら言える」

好きだった、と。

同じ学年の巻島や田所よりも長い時間いた気がする。
心と技術を重ねペダルを踏んだ。汗と呼吸を混じり合わせて風を切る感覚が、今も鮮明に覚えている。
あの頃、今泉と走る瞬間が好きだった。

『きんじょう、さん・・・・・なんで今頃。遅すぎます』
「済まない、今思い出したんだ。お前の声を聞いて。それにお前だって」
『そうですね、俺もあなたから手紙をもらって思い出しました。あなたが好きだった、って』

泣きそうな電波のざらつきは消えた。

過去を懐かしむように紡がれる睦言。
遅すぎると笑う二人はわかっていた。それは今思えば恋かもしれないが、当時の自分達にはこの感情は大人びすぎていて名付けるほどの力がなかった。
あの頃の二人にとっては、恋ではなかったのだ。

『金城さん、って呼べるのも最後ですね』
「そんなこと・・・・今まで通りで構わない」
『俺が構うんですよ、金城さん。明日からは、寒咲さん、ですもんね』
「それだとどっちがどっちだかわからないだろう」
『それもそうだ』

また電波がざらついた。
胸の奥が締め付けられる。

『俺が、最後に金城さん、って呼べれば、それで充分です』

もう「金城真護」でなくなるかと思うと、ひどく胸が痛んだ。
憧れていたあの人と一緒になる喜びで満ちていた心のなかにチクリ刺が刺さった。

「変なやつだ」
『もともとです』

声がかすれる。
壁にかかった時計が頂点を指そうとしていた。

『金城さん、』

今泉が名前を呼んだ。
優しく、壊れ物を扱うようにひどく柔らかな声で。

『金城さん、大好きでした・・・・・・・結婚、おめでとうございます』

「いまいず、み・・・・・」

ありがとう、という前にプツリ、と通話が切れた。

長針と短針が真上を向いている。
今日は、結婚式だ。
なのに、涙が止まらなかった。
嬉しいはずなのに、心がひどく締め付けられていたかった。



『金城さん』



今泉の声が聞こえる。

あれは、恋だった。
今なら胸をはって言える。

あの感情は間違いなく金城の初恋だった。


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1900/04/14
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空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

支部にも同時にUPしています。
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現在視聴中(ツイッターリアタイ実況)のものは匿名、単車魔法使いです。
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