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115(今金)

 

二日目も佳境ですね!
きっと、御堂筋くんは人間じゃないんですよ!
だから!
仕方ないよ今泉!!


なんてね。


ホント御堂筋くん
人間なん?






ということで今金です(どうということもない)
しかも、
今泉片想いのダークネスです(いつものこと)


いや、今泉を幸せにしたいんですが
彼、勝手にBADEDにしようとするんだもん
ということです


増えろ今金の輪!




続きで本文



 




 
郵便受けを開けたら一通の封書。
クリーム色の封筒にハートをあしらった切手が貼られている。
差出人は「金城真護」。その横には知らない女の名前。
封をあけた奥に書かれた日時や会場案内を見ずにボールペンで丸をつけた。

「欠席」

と。







**115**







返信の葉書には切手が貼られていたがポストに投函することはしなかった。幸い金城の住むアパートが近くだったので手渡しして欠席の旨を謝ろうと思った。休日だからこれといった予定もない。なのに、結婚式にいく気にもなれずにいた。

「金城さん、お久しぶりです」

ドアをあけた先には少し老けた金城がいた。
高校時代と変わらぬ坊主姿に今泉は安堵のため息を漏らす。

「久しぶりだな。いきなりどうしたんだ?」

真っ直ぐな瞳で見つめられれば息が詰まる。
口の中にたまった唾液がごくりと大きな音をたてて飲み込まれた。

「これ」
「わざわざ届けてくれたのか」

金城の大きな手のひらが今泉の頭を撫でた。
ごつごつとした手のひらから与えられる優しい感触に今泉はそっと目を細める。

「……当日、行けないんで」

間をおいて言葉を紡ぐ。
「何故だ」何て聞かれたらうまく返せる自信がない。
元から予定などないんだから。

金城の瞳から逃れるように下げた視線の端、彼の玄関に、ヒールのついた華奢な靴が見えた。
それを目にしただけで腹の中から何かが沸き上がる不可思議な感覚を覚え左手で鳩尾のあたりを撫でた。

「………電報、入れさせてもらいます」

奥歯を噛み締めて歯切れの悪い言葉を向ける。
金城のものではない完全な女物の靴。
胃のなかがマグマのように熱い。
ぐるぐるとどす黒い言葉にならない感情が蠢いていた。

「気を使わせて悪かったな」
「いえ」

ふっと笑った柔らかい表情はあの頃のまま自分に向けられていて安堵と優越感が体を包み込む。
まっすぐで太陽のように眩しい視線から目を背けて仏頂面のまま返事をした。

「真護くん…ちょっといいかな?」

後ろから聞き覚えのない女が金城を呼んだ。聞き覚えがないのは今泉だけで、ちょっと待っててくれ、と振り返って金城が返したところをみると、『彼女』が妻となる人間なのだろう。
(あんな煩わしい高い声とか…煩い)
こみあげる不快感に眉を寄せ鳩尾の上の拳をぎゅっとにぎる。
今泉が不快に感じる必要もないのに短い会話を繰り返す金城を見つめては眉間の皺を深めるばかりだった。
(もっといい人が…)

なぜ彼女なのか。
なぜ彼女ではなくてはいけないのか。
なぜ。

問いかけることのできない質問ばかりが脳内を巡った。

「金城さん、忙しいところスンマセン…もう帰りますんで」
「俺こそすまん。バタバタしてなければもっと話せたのに」
「お構い無く」

眉を下げて申し訳なさそうに笑う金城に無表情のまま一礼して背中を向けた。
結局「おめでとうございます」の一言すら口にできなかった。
言うのを忘れていた、と気づいたとき、自分が全く祝福するつもりがないことだけがはっきりと見えていた。

「何で隣が…」

俺じゃないのか。

その言葉にはっと息を飲む。
全ての答えがそこにあった。
結婚式にいきたくない訳も。おめでとうが言えないのも、すべて『そこ』からはじまって『そこ』にいきつく。

「嫉妬してるのかよ」

ガンとコンクリの塀を拳で殴り付けた。
何に、誰になんて考えれば考えるほど苦しくなった。

奥歯を噛み締めたまま携帯電話のダイヤルを押す。

「電報、お願いしたいんですが」

かすれる声でそう告げた。
涙を溢してみてももう遅い。
(タキシード、見なくて良かった…)
強がりな言い訳にしても見苦しい。恋と気づくには遅すぎた。
ただそれだけのはずなのに、胸が裂かれるほど痛い。
電話の向こうのオペレーターの声も聞こえない。
聞きたくなかった。

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年齢:
124
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女性
誕生日:
1900/04/14
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自己紹介:
空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

支部にも同時にUPしています。
(10932のみ支部限定)

現在視聴中(ツイッターリアタイ実況)のものは匿名、単車魔法使いです。
アニメ見れてないなあ・・・

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