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HONEY!!!(兄金)

 

なんか、攻めがプロポーズってあるけど、受けがプロポーズってないから。
なーって。

どうなんだろう?
私は全然ありだと思うんだけども。

やっぱ受けは女々しく(?)なくっちゃいけないのかと思いつつ。
受け攻めなんて入れるか入れられるかの指数と考えれば、他の日常はどっちに主導権あってもいいんじゃないかなって。
NLだって、いろいろあるんだし。




結局何が言いたいかって、


極めて金兄に見える兄金ですwww
※当社比





続きで本文


 


**HONEY!!!**



客足も少ない平日の午後。
店番がてらに軒先に出したダンボールに座ってタバコを咥えて寒咲はぼおっと梅雨の間の青空を眺めた。

「っらっしゃいませー」

アスファルトの上に伸びる黒い影の端を視界に捉えて寒咲は気の抜けた返事を返す。
まだ火をつけ始めたばかりのタバコを消すのはもったいない気もしたが、客が来てしまえば吸うこともかなわないとエプロンのポケットから携帯灰皿を取りだし影の先の本体へと視線を投げかけた。

「こんにちは、」

「お、なーんだ金城かよ」
かちりと灰皿の蓋を開け、今にもタバコの火を消そうとした瞬間に午後の日の来客者が高校の後輩だと気づく。見知った相手ならば煙草なんて関係ない、と伸びてきた灰を携帯灰皿の中に落としてもう一度唇へとくわえ直した。
「どうした?こんな時間に」
会社は?
と大学を卒業して一般企業に就職した金城に問いかける。
自営業の(しかも親の手伝いの身分である)自分が平日の昼間にぷらぷら町に出ていても何ら問題はない。しかし会社勤めのサラリーマンの彼が――確か勤め先は都内のはずだ――千葉にいるなんて。

サボるような性格でもない。かといって体調不良というわけでもなさそうだ。
ダークグレーのスーツに水色のステッチの施されたワイシャツを来た金城はどこか緊張した面持ちで、黒縁の眼鏡の向こうからじっと寒咲を見つめていた。
「半休、取ってきました」
「お前がそんな事するなんて珍しいなぁ。で?なんか用か?自転車見当たらねーからメンテってわけでもなさそーだな」
普段から真っ直ぐで凛々しさにあふれる瞳である。それにもまして今日の瞳は普段の何割増もの眼力がある。
『半休』と『眼力二割増し』という二つのカードから金城の尋常の無さはつかむことができる。

考えていることは全て読めはしないがなにか重要なことがあるのだろうと、寒咲の足元5メートルのところで立ち止まったままの金城に近づくべくダンボールから腰を上げ一歩歩み寄った。

「で?ド平日のこんな時間に何だ、一体」
アスファルトに伸びた金城の影を引くことを許さないとばかりに踏んでその距離を詰めていく。
タバコを加えた唇に弧を描かせて、細めた瞳で視線一つ高い金城のメガネの奥を覗き込んで。

近づくことで、金城の額に汗が浮かんでいるのがわかる。
わずかに上下する方に息が荒いのもわかる。
『緊張』だ。
その現象に名前をつけるとすれば、『緊張』の二文字しかない。高校時代から冷静で大人びていた金城には似つかないような言葉にその奥に潜んだ思考を考える。

「えっと、あの・・・」
「ん?」

珍しく歯切れが悪い。
ジリジリと間合いを詰めていけばあと数10cmで彼に触れる位置まで着た。
下から次の言葉を待つようにニヤニヤと見上げていれば、ゴクリと喉がなって諦めたように深い溜息を付いた金城がスーツの内ポケットに手を入れてなにやら小さな箱を取り出した。


「結婚、してください」



かすれた声。今にも消え入りそうな。
よほど緊張していたのか裏返るような言葉に思わず笑いがこみ上げてきて。
「あはっはは、何金城。もしかしてプロポーズ?」
「・・・・それの他に、何がありますか」
緊張やら恥ずかしさやらに箱を持つ金城の指が震える。

別にからかいたいわけではなかったし、おちょくっているわけでもない。
5年近くも「恋人」という立場であったのだからその申し出は嬉しい事この上ない。たとえこの国では同性同士で認められていなくても、だ。

「ん、なんかお前らしくないっていうか・・・・いや、お前らしいんだけどさ、驚いちまって」
ひとしきり笑ったあと目尻に浮かんだ涙をぬぐって寒咲は金城を見上げる。
おとなになったとは言えまだまだ寒咲に言わせれば年下の男である。
寒咲の言葉ひとつ、行動一つに戸惑い慌てる姿が外見の印象と相反して可愛さを覚えて、からかいたくなってしまうのだ。

「それで」
返事は、と小さな声で問いかける金城の瞳は不安そうに揺れている。
感情のわからない仮面のような顔をしてるのにこんな時ばかり歳相応の表情をするなんて、と寒咲の心臓が大きく脈動する。
「もちろん」
YES、だ
と答えた瞬間に小さな箱を持った手のひらをつかみ引き寄せる。
タバコを摘んだ右手で首筋を押さえ驚愕で見開かれた瞳にそっと笑いかける。パクパクとなんども開閉させる唇にかぶりつき余計な言葉を抑えこむ。


「ん、・・・」
首筋に添えられた手のひらを腰に回しながらくちづけをほどこせば、金城の強靭な体が学理と膝から崩れ落ちていく。
力の入らない体を支えるのが難しくなってようやく寒咲はその長いくちづけから金城を開放した。腰に回された腕を離し、アスファルトに崩れ落ちる金城の左手を取り体が滑り落ちるのを止める。
「かん、ざき・・・さん」
涙に濡れた瞳とぶつかる。
くちづけでかわされた熱い想いは金城にも伝わったようではあるが、あまりの行動に体が言うことを聞かないようだった。
「ん?」
キスでずれたメガネを直す金城は「驚きましたよ」と息も絶え絶えに苦笑いを見せて普段とは逆になった身長差のまま寒咲を見つめた。
「驚いたのは俺の方だって、いきなりこんな事言われるなんて。」
「驚かせ、たかったんです」
視線をアスファルトに落としてはにかむ金城の体は未だに地面から離れられないようだ。
ゆっくりと膝を曲げて寒咲は視線を金城と合わせるとつないだままの金城の左手をとって自分の顔の高さまで上げる。
「笑っちまって悪かったな、でもうれしーぜ。」
「かんざき、さん」
手の甲に優しく口付けを落とせば金城の息を飲む音が鮮明に耳に滑りこんでくる。
「突然だったから何も用意できなかったけどさ」
「それは」
大きく節ばった男の手のひら。
妹のように柔らかくない方い指。
その金城の左手の薬指をおもむろに口に含めば、その根元に歯を立てた。
「いっ」
がりっと音を立てて噛み付けば、血が滲んだのか口の中に鉄の味が広がる。
痛みに眉を寄せる金城の表情を見て慌てて唇を離せば薬指の根元にはっきりと赤い歯型が円状に刻みつけられていた。
「あ、ごめん」
「血が」
「ワリィ、・・・・俺からの指輪、用意できるまではこれで我慢してくれよ」
じわりと赤く滲んだそこにもう一度くちづけるようにすれば、その意味がわかったのか金城の顔にぼっと火が付いたかのように耳から首筋まで赤くなっていく。

「返事は?」
真っ赤になって自分の手のひらを見つめてうつむく金城にニヤニヤといたずらめいた笑顔を見せながら寒咲が覗き込んだ。
「YES」のかわりのキスがキスが帰って来るまで大した時間は必要なかった。

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自己紹介:
空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

支部にも同時にUPしています。
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現在視聴中(ツイッターリアタイ実況)のものは匿名、単車魔法使いです。
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