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閨の理由(姜維×夏侯覇)

 というわけでさんむそ6誰得CP第二弾です。
蜀に亡命したあとの夏侯覇です。
夏候覇さんまじ可愛くてたまりませんね。
愛され苦労受け!

そして生姜は絶対病んでます。
丞相の呪いのせいで病んでます。
その病んでる生姜を支える?夏候覇さんまじ可愛いです。

ほら夏侯一族だから振り回されてなんかされても「仕方ないなあ」で済ませちゃうんですよ。
もう苦労性だね。

ほんと晋伝は萌え殺すのかと思ったよ。
困りものですね。。。




続きで本文




 



**閨の理由**


行為をすませた後何事もなかったかのように衣服をただし始める姜維の背中に夏侯覇はぼんやりとした頭のまま視線を送る。
育ち盛りの姜維の丸みを帯びた白い背中には自分のつけた赤いひっかき傷が数本浮かび上がっている。

消して筋肉の発達している訳ではないからだ。
彼は軍師であるから生粋の武人の自分のように筋肉がついているわけではない。
槍を操ろうとも大剣を振り回す夏侯覇の方が確実に力があるのに。なのにどうしてか断ることも拒絶することもできずに何度も姜維を受け入れてしまう。
 
自分を抱くとき、姜維は心ここにあらずと言ったような表情でぼんやりと虚空を眺めていることが多い。
激しく腰を打ちつけても、何度も執拗に唇をあわせてもその瞳に夏侯覇の姿が映っていないのは自分自身でもわかっていた。
「じょうしょう」
小さくうめくような声で姜維が言葉を漏らすことがあった。

丞相。

この国で丞相といえばすでに他界している諸葛亮のことを言うのは亡命してまだ日の浅い夏侯覇だってわかっていた。
姜維が自分に恋愛感情などなにも持っていないことなど気づいていたのだが、どうしてか姜維が今は亡き諸葛亮のことばかり口に出すとぎゅうと心が締め付けられる様に痛かった。

(別に、俺も姜維殿のことが好きな訳じゃないのにさ)

遊びだと。
いや遊びよりも質が悪いのかもしれない。
ただお互いに若い性欲を持て余して処理をしているだけなのだ。
そう何度も自分に言い聞かせているのに、それなのにこんなに心が締め付けられるのはなぜだろうか。
ずきずきと痛む心臓は夏侯覇の心を蝕んでいく。

だから。
だから聞いてしまった。
あまりにも苦しくて。
寝台に横たわる自分に背中を向けて、栗色の長い髪をゆわく天水の麒麟児に。
彼ならば解いてくれるかもしれないと思った。
この心の痛む理由を。




「なーあ、姜維殿。姜維殿が俺を抱く理由って、なに?」

いつもの軽い調子で言葉を紡いだ。
不安や痛みなど見えないように平静を装って。

「え?」

振り返った姜維の双眸がまん丸に見開かれている。
髪を結っていた手のひらが止まりカランと手にした輪環が床に落ちて冷たい音を立てた。
(やっばいなあ)
動きが止まってしまった姜維に夏侯覇の背中に冷や汗が垂れた。
禁忌の質問だったようで姜維は固まったまま夏侯覇をじっと見つめている。

「あーわー!ごめん!姜維殿!!ほら、もてそうなのにさ、なーんで男の俺なのかなーって、」
「・・・・・・なきゃ、だめなんです」
「へ?」

あわてて取り繕うように言葉を紡げばまた聞こえないほどの声で姜維がつぶやいているのがわかった。

「あなたじゃなきゃだめなんです」
「俺じゃなきゃ?」

丸く見開かれていた瞳は泣きそうなほどに歪んでいた。
涙が今にもこぼれそうで。
泣かないでくれと傍によって抱きしめてやりたかったけれど、さんざん奥を突かれ、下半身の感覚がない自分では駆け寄ることも無理そうだった。
だから首を傾げて問いかけた、その言葉の意味を。

「何度も丞相が傾いたこの国を守れと言うんです。仁の国を建てろと」
「きょういどの」
「丞相の言葉を聞いていると今私がどこにいるのかわからなくなる。私が闇に溶けていきそうになるんです。でも、あなたがいると私が私でいられるのです。あなたの屈託の無いその笑顔や優しい声、あなたの顔を見てこの腕の中で抱きしめているだけで心が落ち着くのです。暗闇が消えて行くんです。夏侯覇殿には迷惑千万な話でしょう。私一人の心の平静を保つために男に抱かれるなんて」
 
自嘲気味に笑う姜維にそんなことはない、と叫びながら思いのたけを伝えようとしたけれど、その言葉は口から発することはできなかった。
泣きそうな瞳の姜維を見つめて名前を呼ぶことしかできなかった。

「私が弱いせいで夏侯覇殿を巻き込んでしまいましたね」

もう、ここへはきませんから。
と姜維は背中を向けて夏侯覇の居室から出ていった。

「姜維殿!ちょっと!!」

名前を呼ぶタイミングは少し遅かった。
閉じかけた扉から栗色の髪の毛の端が少しだけ棚引いてるのが見えた。

「ちょっと・・・髪留め、忘れてるって」

ころころと床の上を転がって夏侯覇が臥せっている寝台の傍までやってきた銀の髪留めを拾い上げる。

「それに、そんな求められてるなんてさ、・・・下手な告白よりやばいって」

輪環に指を通してくるくると回す。
先ほどかけられた姜維の言葉が頭の中で反芻されて段々と顔が赤になってくる。

てっきり誰かの代わりかと思った。
そういわれてしまえば心の痛みもすべて忘れてその行為だけ受け入れようと覚悟していたのに。
確かに姜維の結うとおりの歪んだ思いかもしれないけれど。
それでも誰かの代わりというだけでなくまっすぐな姜維の自分への思いに心の痛みも体の重みも忘れてしまえるほどだった。

脱ぎ散らかされた単の着物をつかんで腕を通す。
どうせ夜半過ぎだ。
誰もこんな格好で行っても咎めないだろう。

「もう!軍師なのにほんと!」

少し前に姜維がでていった扉をくぐる。
相変わらず体はきしきしと痛んだが関係なかった。
位廊下の奥に煌々と明かりがつく彼の部屋が見えた。


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