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初雪で候う(だてまご)

 PS3かいました!
OROCHIZいまさらですwww





ということで伊達孫です。

だてまごかきやすいの。
きゃっははうっふふしてればいいとおもうの!

孫がアホな子になってしまったが、ね。




続きで本文


 

**初雪で候う**


 
あまりの寒さと外の騒ぎ声に政宗の意識が覚醒した。
体を包む綿の布団だけでは明け方の凍てつく寒さはしのげない。

(これは雪でも降ったか)

外海に面するこの国は他の奥州の国に比べれば雪は積もりにくい。
それでも北国であることには間違いないため、江戸や京に比べれば寒いし雪も冬の日常だった。


「何をはしゃいでおる。雪など珍しもなかろう」

綿入れを羽織り、縁側に面した襖を開ければ、予想通りの白銀の世界。
夏は青々と葉を繁らせ、春には色鮮やかな花を咲かせる庭も全て白に色を奪われていた。
その白の中にぽつり、深緑の着物と藍の綿入れを羽織った男がひとり。

「そりゃ殿様より生きてるから雪くらいは見たことあるけど、やっぱ奥州のは畿内とは違うのよ」

手袋も用いずに積もった雪をかき集めて年甲斐もなく無邪気な表情を孫市は政宗にむける。
悴むのか時折指を擦りあせて赤くなった指先に白い息をはぁはぁと吹き掛けた。

「凍傷になって指と足が朽ちる前に屋敷にあがれ」
「えー」

諌めるには語尾が強く上から降るような政宗の言葉に不満そうに頬をふくらませ孫市が反論した。

「三十路もとうに過ぎてみっともないわ!わしが火縄を持ち出す前に庭からっ―――」

こめかみに青筋をたてて怒鳴る政宗の言葉は、孫市によって投げつけられた雪玉に語尾を打ち消されてしまう。
「孫市!」
まだ大人になりきらない高音が混じる声は雪のように澄んでいて、どなり声で名前を呼ばれていると言うのに心地いい。

「ムキになんなよ、とのさま!」

段々と政宗の怒りゲージがあがってくるのがわかる。
ふつふつと沸き上がる不機嫌オーラは雪を溶かしてしまうのではないかと思うほどであった。

「そんな小姑みたいになんねぇでこっちこいよ」

孫市がまた雪玉を握り政宗の顔面めがけて投げつけた。
二度目とあらば政宗程の男ならば回避など容易い。
左手で見事な捕球を見せると、ギュッギュッと渾身の力を込めて雪を握り固めた。

「まて!お前それ投げる気かよ!反則だろ!」
「知らぬわ、馬鹿め!」
「わーっ!」

雪と言うよりも氷玉と言うても違いない代物を持って振りかぶる政宗。
あの高密度のものを当てられれば怪我を負うだろう。
護身の本能により孫市は政宗に背を向けて雪の庭にしゃがみこんだ。
頭を丸めて小さくなれば当たったとしても大事には至らないだろう。

しかし孫市がいくら屈んで待っても氷の礫は降ってこなかった。
かわりに着物と体の隙間から柔らかく凍てつく雪が雪崩こむ。

「うぎゃっ!つ、冷てぇっ」

肩を寄せ叫び声を上げながら孫市は立ち上がる。
体温で溶けかけた冷水が背骨を通り更に孫市は悲鳴を上げる羽目になった。

「まっさむねぇ~」
「ははは!馬鹿め!背中ががら空きじゃ!」

先程まで縁側にいた政宗が孫市の背後で高笑いをあげる。
ひとすくいだけでは飽きたらないのか両手でかき集めた新雪をばさりばさりと幾度も孫市に振りかけた。

「あー、殿様のせいでホントに凍傷になりそう」

雪にまみれた孫市は真っ赤になった手のひらで髪の毛や肩を払うと、はぁはぁ、とまた白い息を指に吹き付ける。
じんじんと痛みを伴う寒さは吐息だけでは凌ぐことなど不可能だった。

「わしも孫市のせいで久々に真っ赤になったわ!」
「うわー、せっかくの真っ白い手がもったいねえじゃん」

せめて元凍える手を摺りあわせてなんとか熱を起こそうとするも長時間幸の中にいた体は死んまで冷え込み、気休めにさえもならなかった。
唇を尖らせたまま政宗を見つめると、隻眼の少年は孫市より一回り小さな手のひらを彼の前に突き出して、同じように唇を尖らせて悪態を付いた。
孫市が端から赤くなっていく政宗の手のひらを包み込めば「わしのほうがまだ暖かいな」とめったに見せない歳相応の幼い笑顔をみせて、氷のように冷え切った孫市の指先を握り返した。

「政宗の熱で溶けてく感じがする」
「はは、そこまで凍えておったとは馬鹿なやつじゃ」
「しかたねーだろ。こんなきれいな雪の庭なんかめったに拝めねえんだぜ?」

繋いだ手からじわじわと熱が伝わって、関節まで凍り固まってしまったかと思われた指先が漸く自由になった気がした。
キラキラと朝日を浴びて白銀にきらめく庭は一冬になんども目にかかることなんてない。
寒いけれどもっとこの世界を見ていたかった。

「雪なら湯殿で拝むがいい」
「え?」
「格子を外せば庭も良く見えよう。寒さで凍った体を温めるには一番じゃ」

政宗の言葉に孫市も嬉しそうに微笑んだ。
縁側に上がれば雪にうもれていた着物はぐっしょりと濡れていて磨かれた板の廊下にぽつりぽつりと二人分のあしあとを残していた。

「風呂で雪見ならさ、酒も持ち込もうぜ殿様」
「朝っぱらから何を考えている馬鹿め」
「酒があれば中からもあったまるし、な?」

背の低い政宗の方に腕を回して孫市はその隻眼の顔を覗き込んだ。
一見不機嫌そうに聞こえる言葉も、口元がわずかに緩められればそれは拒絶ではないことを孫市は知っている。

じゃあ、まずは酒の調達だな!と嬉しそうな声を出して、肩を組んだままの二人が廊下の奥に消えて行った。

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