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嗚呼、愛しのお兄様 ep.1(三清)

 現パロ2シリーズ目です!

一応同じ設定なんですが、
だてまご家族計画の方はだてまご+ガラシャの家族ごっこメインで、
愛しのお兄様は学園モノっつうことで、結構経路が違うかもというか、メンツがバラバラですね。

お兄様の方は、高校生の日常っす。大人殆ど出ません。
家族計画は、学生は出て、政宗のクラスメイトの一年子くらいかな、と。



ということで、三清現パロ!
です!

どうかというと、やたら世話を焼きたい兄・三成と、反抗的な割に兄に憧れて真似したくなってる清正の両片思い的な?
がね、
書きたいんだ。


設定




続きで本文





 



**嗚呼、愛しのお兄様 ep:1**


頭の上で目覚まし時計が鳴っている。
枕のしたからは携帯のアラームが「起きろ」と叫び声を上げていた。

「うぅん・・・・あとごふん」

カーテンから射す朝日にまぶしそうに清正が目を細めて半分寝ぼけた様子で呟いた。
まだ春休みのはずだ。
買ってもらったばかりの携帯のサブ画面には6時半とデジタル数字が並んでいて。
まだ寝ててもいいじゃないか、と布団の裾を引っ張り上げようとしたその時だった。


「おい馬鹿、起きろ!大事な日に遅刻したいのか馬鹿!」


掛け布団を一気に剥ぎ取られればその下は灰色のスウェットと、半袖のTシャツ。
いくら春の日差しが温かいとはいえ、そんな薄着では耐えられるはずもなく、15歳にしては筋肉のついた二の腕に鳥肌を立てて、清正はベッドから飛び起きた。

「三成、てめえ・・・」
「兄に向かってそんな口を聞くとはいい度胸だな」

ベッド脇には清正のかけ布団をとって仁王立ちする三成の姿が。
清正よりも年上のはずが、中学時代に身長を抜かれて依頼、三成は清正を見上げるばかりで。
今日も整った顔からは想像できないほどの毒舌を朝から披露していた。

「春休みなんだからまだ寝かせてくれてもいいだろうが、馬鹿」
「はっ、お前は本当に大ばかだな、今日が何月何日だと思っている」
「・・・・・・・・えっと・・・・」

壁にかかるカレンダーに目をやった。


4月7日 月曜日


7と書かれたマス目に大きく赤で丸印。
そして止めに大きな文字で「入学式」と三文字。

「あれ?春休みは?」
「昨日でおしまいだ。ほらそんなみっともないパジャマは脱げ!こんなことだろうと思ってワイシャツも全部出しておいた」
「わ、わ、、、み、三成!自分でできるから!」

カレンダーを見てぼーっとしていた清正に三成の我慢が切れたのかTシャツの裾をまくって着替までもさせようとしてくる。

昔からこの関係は変わらなかった。
羽柴家に引き取られた時から三成の世話焼きぷりと毒舌は健在で、「馬鹿かお前は」「もっとサッとやれ」と罵っては喧嘩へと発展した。
母代わりのねねに泣きながら訴えても「三成はこないだまで一人っ子だったから、弟ができて楽しいのよ。怖いけどお兄ちゃんの事良く聞きなさい」と笑顔でいなすばかりだった。
乱暴な言葉づかいで、すぐに罵って最悪手が飛んでくる。
それでも、成績優秀で無双学園高等科に首席で入学して依頼学年首位を不動のものとする三成には尊敬の念ばかり浮かぶのも事実だった。

突然突拍子も無い行動を起こす時があるが、それさえかわせばいい兄なのではないかというのが最近の感想だ。
まあ、喧嘩はしょっちゅうなので、仲がいいとはお世辞にも言えないわけで。

「お前がちんたらしてるから、着替のできない餓鬼かとおもった」

いちいち刺のある言葉に反応してはこちらが持たないと、清正は三成の言葉を無視して着替えを始める。
まっさらなシャツ、折り目のぴっしりと決まったスラックス。

三成、正則と羽柴家に居候する兄たちが立て続けに名門私立の無双学園に入学して、清正の進路も自ずからそこだと決まっていた。
結局、二人の兄とは違い一般入試ではなく、剣道成績優秀者ということで推薦枠で入学したため学業に若干の不安を覚えるものの、兄と同じ高校に行けるというのはそんな不安さえかき消すほどの喜びだった。

靴下を履き、赤いネクタイを結ぶ。
中学校は学ランだったからネクタイなど結んだことはない。
春休み中に何度か養父の秀吉に習って結んでみたがうまくはできなかった。

「うー、、ん・・・」

四苦八苦して結んでできたのは、結び目の三角が小さいひどく貧相なネクタイだった。
目の前にいる三成のネクタイは結び目が大きくて、びしっと決まっている。

「無様なネクタイだな」

やっぱり。
笑われると思った。
恥ずかしくて、悔しくてにらみ返せば壁に持たれて着替の様子を見ていた三成がつかつかと清正の前まで近づいてきた。

「まあ、はじめはこんなものだろう」

唇を尖らせて三成を眺めればいつものシニカルな笑みを見せ、首元からシュッと結び目の小さなネクタイを解いた。

「ほら、よく見ておけ。結ぶときに充分にスペースを作っておけば、どうということはない。せっかくの入学式なんだから格好ぐらい決めてみせろ」
「お・・・おう。三成うまいな・・・」

清正よりも早く、それなのに綺麗な結び目を作って三成は清正の胸元にネクタイを結んでいく。
白い指が赤いネクタイに生えてドキッと小動画高ぶるのを清正は止めることができなかった。

「当たり前だ。2年も結んでるんだこれくらいできて当たり前だ」
「へえ・・・」
「まだ自信がないなら。それを外すとき全部取らないで輪っかのまま首から外すんだな。そうすれば馬鹿でも綺麗な結び目ができるだろう」
「あ、ありがとう」

皮肉を込め他言葉を投げかけたのに、帰ってきたのが素直すぎる謝礼のセリフで、清正は長いまつげに覆われた瞳をパチリと数度まばたきさせてぽかんとした表情になった。
普段だったら「バカな俺に教えてくれてありがとうございます素敵なお兄様」などとまた厭味ったらしい言葉が返ってくるはずなのに、これでは拍子抜けである。

「・・・・・清正、調子でも悪いのか?」

少し背の高い弟を覗き込むように三成が見上げる。
鼻と鼻とが触れ合ってしまいそうなほどの近い距離に気づいた清正の頬が真っ赤に染まった。
「何でもない!バカ三成!!」と叫んで自室を飛び出ていってしまった清正の背中に三成は首をかしげて?マークを送った。

「全く慌ただしいな。ジャケットも忘れているではないか」

空になった部屋を見渡して、清正のブレザーと、紺色の指定の学生鞄を手に取る。

「高校生にもなって世話が焼ける」

ふう、とため息を付いた三成の表情は、困った、というのではなく、とてもうれしそうな満面の笑顔だった。

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空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

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