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幸せ(擬似)家族計画 vol.1(伊達孫)

 幸せ(擬似)家族計画シリーズはじまるよおーん。

現パロです!
現パロ注意報です!!


父と死に別れ、母は弟ばかり可愛がり、実家に居場所のなくなった政宗は、幼い頃近所に住んでた孫市を頼りに上京。
孫市のアパートで二人暮らしを開始します。


という
伊達孫の再会ss。
なんかだてまごっていうかまごだてっぽいけど、伊達孫ですから!www


その後、孫と仲睦まじい関係になり、高校で友達もでき、なんだかんだで幼女にも慕われていく政宗の家族日記。

多分時系列はばらばらになってくから気おつけてね!www



設定!





続きで本文






**幸せ(擬似)家族計画 vol.1**



母が自分を快く思っていないのではないかというのは幼い頃から薄うす感づいていた。 
兄だから厳しく育てられたと思っていたがどうもそうではないらしい。
母に好かれようとする気力ももうすでに泣く、歪んだこの実家から逃げたい、そう思っていた矢先だった。

天啓は中学3年の夏に訪れた。


「そんな実家出たいのか?じゃあ、上京して進学するしかねえな。最近は全寮制とか流行んねえし、俺のとこに居候させてやってもいいぞ」


そんな酔狂な言葉を述べたのは、幼い頃から実家にやって来る男だった。
雑賀孫市という三十路手前の男は何のためらいもなく政宗へ同居の提案をしてきた。

「いいのか?」
「まー、俺こう見えて高級取りだからいい部屋すんでんのよ。お前の方が早く帰宅するから飯とか作っててくれれば、なおサイコーなんだけどねー」
「それくらい容易い」

なんにも見返りのない男子高校生との同居など普通だったら考えつかない。
恋人が部屋に上がることはないのか?
何か裏があるのではないか?
となんども「それは罠だ」とか考えたりしたのだが「餓鬼は餓鬼らしく素直にしとけよ」と優しく頭をなでられて、口をつむぐよりほかなかった。



政宗は家庭環境のせいで性格は多少ゆがんでいたが、成績優秀素行良好でその年の冬前には私立無双学園高等科の入学資格を手に入れていた。
あとは、ひとりで生きるためにと必死で家事を覚える日々が続いた。
孫市の提案はありがたかったが、いつ彼が「やっぱお前でてけ」と政宗に告げるかはわからない。
その時のために全て身の回りのことはひとりでしなくてはいけないのだから。

指に傷を作りながらも料理を覚え、アイロンがけから、ボタン付まで簡単な裁縫もできるようになった。
自分はひとりだ。
ひとりでも生き抜いてやるんだ。
そういう気概が政宗をつき動かしていた。


同時に、大人は信じられない、とも。





そんな政宗がひとりおおきなボストンバッグを1つ抱えて状況したのは3月の半ばのことだった。
中学の卒業式のあと仙台駅にまっすぐ向かい東京行きの新幹線に乗った。
仙台は季節外れの大雪で着込んだダッフルコートさえ通り抜けて寒波が政宗の体をこごらせた。
冷えた手のひらは暖房が効いた新幹線の中ですら暖まることはなくて。

「大雪かと思ったけどちゃんと付いたな」
「あれくらいで止まる技術ではなかろう」
「はは、夏に見た時より背も態度もでかくなったなー」

東京はダッフルコートがいらないほどに暖かかった。
改札を抜けた先にモスグリーンのジャケットを着た孫市が立っていた。
満面の笑みを浮かべて、まだ頭人つ以上小さな政宗の髪の毛に手のひらを突っ込んで頭を撫で回す。

「何をする、貴様!」
「ははは、いーじゃねーの。だって待ちに待ってたお前が漸くきたんだもん、喜んじゃうでしょ」

一人酒が入っているわけでもないのにテンションの高い孫市に政宗は冷たい視線を送った。

ばからしい。

無愛想な子供を引きとってどうしてこんなにも脳天気でいられるか。
政宗には分かんなかった。

「なあにしかめっ面してんだよ」
「・・・・・わしにかまうな」
「構うなってたって、今日からひとつ屋根の下だぜ?」

はしゃぐ孫市を無視して、すたすたと東京駅を進んでいく。
数回しかきたことはなかったが、何度か歩けば大体どこに何があるのかわかるから問題はないだろう。

「まーてーよ、すなおじゃないなあ」
「ぶふっ」

先を進む政宗に追いついて孫市はまだ幼さの残る頬を両手で挟み込んだ。頬にたまった空気が抜けて間抜けな息が漏れる。
その音に声を出して笑えば、さっきよりも眉間にシワを寄せた政宗が肩越しに睨みを効かせていた。
いくら鋭い視線だとはいえ、たかが15歳の少年のものだ。怖いというより、可愛さやどこか寂しさばかりしか見えない。

「変な顔」
「はなせ!」
「ははは、やだね。仏頂面の政宗にはこれくらいが充分」

寒さで冷えた頬をグニグニと手のひらで潰す。
いたずらっぽく笑えば険しいばかりの政宗の顔にだんだんと子どもらしい表情が戻ってきて。

「貴様わしに手を上げるとは無礼者め!」
「わ、政宗っ・・・腹くすぐんのはっ、卑怯だろ!」

ジャケットのしたから手を伸ばして無防備な脇腹を政宗の冷たい指がうごめく。
東京駅の通路の真ん中で人の視線さえも気にせずに二人の横線は続いた。

「ふはは、まじ、こ、こうさん!」
「馬鹿め!わしに手を出すからじゃ!」

再三の脇腹攻撃に観念したのか孫市がタイル張りの床にうずくまった。
目尻に涙をうっすら浮かべ笑顔のまま、身長差のできた政宗を見上げる。
天井の照明のせいで逆光になり表情ははっきりわからなかったが、その表情に15歳の歳相応の無邪気な笑顔が見えた。

「なんだ笑えんじゃん」

右手でピストルをもしたような形をとって「バーン」とつぶやきながら政宗の顔に向かって銃を撃つ真似をした。
その姿を見て、肩を揺らして笑い出した政宗のとなりに孫市は並ぶと、床に置かれたままのボストンバッグを持ち上げて右手を差し出した。

「ほら、いくぞ。」
「うむ」

孫市のゴツゴツとした手のひらに政宗の白い左手が重なった。
あんなに冷えていた指先が、孫市と手をつないだだけでほっかりと暖まって、凍っていた心まで溶けていくような気がした。

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1900/04/14
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自己紹介:
空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

支部にも同時にUPしています。
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