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晴のち雨処によって雪、局地的にキスの嵐(みつさこ)

こんばんはご無沙汰しております。
10932にハマりまして、こちらではうpできそうにないので支部にちょこちょこ上げてましたwww

そんなことしてましたらクリスマスでしたwww
ということで
メリクリです。




恥ずかしいタイトルでごめんなさい






続きでメリクリ








**晴れのち雨ところによって雪、局地的にキスの嵐**





『きっと君はこない 一人きりのクリスマスイブ』

静かなカフェに有名なクリスマスソングが流れている。
20何年連続トップ100入りという往年の名曲が左近の心に染み渡る。
目の前のマグカップに注がれたカフェオレを眺めるけれど、描かれたサンタクロースとMerry Christmasの文字はもう消えてしまっている。

『済まない・・・仕事が入った』

数日前うなだれて今日が仕事だと告げた年下の恋人の事を思う。
仕事なんだから仕方位ですよ、としょんぼりするその肩を抱き寄せて年上の余裕というやつでなだめてみたが、実際当日になるとひとりきりのクリスマスイブなんて虚しいだけだった。
つけたテレビも「クリスマス特集」ばかりで今日行けるデートスポットだの、理想のクリスマスの過ごしかただの、予定のなくなってしまった左近には気の滅入るものばかりだった。
三成が仕事だとわかっていたから前倒しに行った二人だけのクリスマスイブイブでチキンやケーキを食べたから、今日もお祭り騒ぎをするつもりはなかった。
恋人や家族同士で浮かれる人たちを無視して、行きつけの静かな喫茶店に入る。

「結局ここでも浮いちまうんだよな…」

静かな店内も今日はクリスマス一色で、狭い店内の至る所にプレゼントを渡しあったり、1つのケーキを分けあってはしゃぐカップルたちがひしめいていた。
店の奥、窓際のテーブル席でマグカップ片手に段々と闇に包まれていく町並みを眺める。
昼までは燦々と日が照っていた町も、左近の心を表すように今はしっとりした雨模様だった。

「あーあ、雪になるって言ってたんだがね」

朝の天気予報は大陸からの寒気が流れ込んで、平野部でも60年ぶりのホワイトクリスマスだと言っていたのに、しとしとと降り落ちる雨粒が雪に変わる気配もない。
遠くのイルミネーションが雨粒に反射してさらにきらめいている以外は、何の感慨もない。
ただ寒くて、憂鬱で、同仕様もなかった。

(こんな時に、隣にいてくれればいいのに)

いない人を思ってもただ虚しいだけなのはわかっている。
それでも思わずにいられないのは、寂しさと溢れだす恋情のせいだろうか。
マグカップを奥にずらして木製のテーブルに顔を寄せた。
ひんやりと冷たいその感触が、ひとりきりを強調してるようで泣きそうになる。
通りを歩くカップルの掌や、嬉しそうに見つめ合う表情が、左近の胸をギュウギュウと締め付ける。
普段は恥ずかしくて、手なんて繋げないけれど、隣に並んで歩くのが精一杯だけれども。

「今日だけなら、手ェつないでやったのに・・・仕事なんて入れやがって馬鹿」

いない男に悪態をついてみた。
こんなに寂しい、寒い夜なんだからすこしくらい甘えてやってもいいとずっと前から考えていたのに。

「クリスマスイブに、恋人置いてきぼりなんて・・・馬鹿殿」

泣きそうになるのをどうにかして堪えて、まだ会えない恋人を思う。
急に入った仕事である、終わる時間もわからないからと今日会う約束はしていない。
三成は「仕事終わったら連絡する」と言っていたが、結局期待して駄目だった時のダメージを想像して苦しくなったから、出かけるときに携帯はベッドの上に投げ捨てておいた。
今日は会う予定もない、合うこともないだろう。
明日からまたふたりともそれぞれ仕事で、年末まで逢えるかわからない。
それでもいい、そう思えるほどに寂しさばかりが降り積もって左近は目を閉じた。


「・・・すまん、恋人を失望させるような大馬鹿者だが・・・まだ、間に合うだろうかっ」

閉じた瞳はすぐに開かれる。
聞こえることのあるはずのない声が聞こえれば飛び起きるのは当然だろう。
一日中待ち望んでいたその声に、左近は半ば脊髄反射のように飛び起きてしまう。

「・・・と、の」
「すまない、やっと仕事が終わったのだ」

ダークグレーのコートの奥には、だらしなく緩められた赤いネクタイ。
走ってきたのだろうか、前髪は雨にしっとり濡れて、息も荒い。
寒さで赤くした頬と、真っ直ぐな瞳に左近の心拍数は急上昇する。

「ここ、よくわかりましたね」
「部屋にいそうになかったからな・・・一人で来るとすればここだろう?」

情けなく眉毛を垂らして苦笑いを見せる三成に、左近も目を伏せて小さく微笑む。
携帯なんかなくても自分を見つけてくれるこの男が愛おしい。
仕事が終わって必死に駆けつけてくれる三成がたまらなく好きだ。

「ありがとう、ございます」

小さく呟いた。
寂しくてもこぼれなかった涙が、ふとこぼれ落ちた。

「さこん、」
「今、何時だと思ってるんですか・・・まだ、クリスマスは始まったばかりですよ」

一人きりのクリスマスイブを忘れ去るように、伝票を握りしめてレジに向かう。
すれ違った時にそっとその頬に唇を寄せる。
触れたか、触れていないかわからないくらいのそんな口吻にビクリと三成が肩を震わせたのがわかった。

「さこ、ん!?」
「殿、クリスマスイブですよ?そんなとこでぼーっとしてないでくださいよ」
「あ、あぁ!」

未だ触れた頬を片手で押さえて立ちすくむ三成を振り返ってにこりといつもの笑みを見せる。
ようやく魔法から解き放たれたように隣に早足で並んだ三成のそのまだ細い腕にダウンコートの腕を絡ませる。

「え?左近?」

普段なら絶対やらない、腕を組むという行為にまた三成が驚いた声を上げる。
なんだかその声が矢鱈おかしくて目を細めて意地悪そうに呟いた。

「左近を一人にした代償ですよ」
「すまない、」
「謝ってもらっても困ります」

降っていた雨は、夜更け前に雪に変わったようだ。
真っ白の氷の塊が二人の方に落ちて水滴に還る。
喫茶店の前の広場のイルミネーションは雨のせいで今はもう人通りがまばらだった。
腕を組んだまま、三成を引っ張るように左近は光の中へと進んでいく。

「キスしてください、殿」
「ここでか?」
「もちろんです。どうせ周りも自分たちに夢中なんだ・・・ねえ、殿。左近を待たせたんですから、」

普段なら言えないことがポンポン口から滑り落ちるのはクリスマスの魔法だろうか。
それでもいい。
三成と一緒の聖夜をくれたのがサンタクロースのプレゼントだろう。
甘えてしまうことの恥ずかしさも、寂しさから思えば瑣末なことだった。
一緒にいるだけでもうこんなにも満たされている自分がいる。

手を離して三成と向かい合う。
誘うように口を尖らせて、そっと目を閉じる。
やわらかなそれが触れるまでの時間なんて、長い今日一日に比べれば、ただの幸せな一瞬だった。





メリークリスマス!佐和山!







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1900/04/14
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空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

支部にも同時にUPしています。
(10932のみ支部限定)

現在視聴中(ツイッターリアタイ実況)のものは匿名、単車魔法使いです。
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