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at alive(伊達孫)


久々戦ムソ
久々伊達孫です。

長いだけでgdgdでごめんなさい。

というか、伊達くんに某08小隊長の「オレは生きる!生きてアイナとそい遂げる!」的なセリフを言ってもらいたかったんだ。
でも、書いていたら「わしは生きる!生きて孫市貴様と添い遂げる!」
とかぶっちゃけキツイな・・・・伊達くんっぽくないなって思って冷静になって考えなおした結果がこのザマだよ。


モブで小十郎と愛姫が出てきます。
こじゅは小姑で、愛ちゃんは政宗ともども孫市を愛でてる感じ。




でも、やっぱ愛を語る伊達くんが見たいので、それは現パロでやろうと思うよ。





続きで本文









家臣の言葉を無視して単騎で適中突破を謀ったのは無謀だったのだろうか。
膠着する戦いを崩すために大将自ら敵陣深くまで突き進む。
本陣詰めの小十郎の制止を振り切って政宗は駆ける。
待てよ、殿様!孫市が怒鳴るように呼び止めたが聞こえるはずもなく。






**at alive**







「……チッ」

数十人の雑兵に囲まれ政宗は舌打ちをした。
囲む人数は多けれど、あわない甲冑に震える刀は戦い慣れしていないことを如実に表していて、ぎろりとその激情の滲む隻眼で睨み付ければ、蛇に対峙した蛙のように固まり凍りつくだけ。
これでは時間稼ぎにもならない。
慣れない雑兵など政宗にかかれば容易く撃破できるもの。
しかし如何せん数が多すぎる。
刀など十数度切ればダメになる。
腰につけた短銃も弾に限りがあった。

(わしもここまでか)

目を伏せて息を吸い込む。
覚悟は決まった。
国許に置いてきた愛姫は気丈な女だ。
万が一のことがあっても一人でもやっていけよう。

ここで命散るは定められた決まりだ。
生き延びたくとも決められたものならば抗いきれぬものもあるだろう。
死にたくなくとも死ぬときは死ぬ、死ぬ気でいても死なぬときは傷ひとつ負うことはない。
それが戦いの、命の定め。
それは諦めではなく、許容。
天命を受け入れること。

政宗はもう一度息を吸った。
真っ白になっていく心と頭のなかに、緑の……深く苔にむされたように緑がかった黒い鳥が飛んでいく。
鴉だ。
あれは鴉だ、三本の脚をもつ神の御使。

(勝利への標か……三途の引導か)

光に溶けていく鳥のシルエットを見届け政宗が大きく息を吐き出したときに、パンパンと乾いた銃声が鳴り響いた。


「……本陣を守れと言うただろう、孫市」
「煩い馬鹿殿。お前が死んだら誰が俺の禄を手当てすんだよ」
「馬鹿が」

鼻をつくのは硝煙のかおり。
目を開ければ緑の羽織に刻まれた黒い鳥。
目を閉じた先に現れた三本脚の鴉が見えた。

「誰が死ぬか、馬鹿め」
「はいはい、」

そういうことにしときますか、ため息をつきながら孫市は政宗に並ぶと銃を構える。
隻眼の政宗の死角にまわり囲む敵兵を銃身に剣先のついた銃剣で威嚇していく。
銃と刀とでは間合いの違いで刀には不利だ。
懐に入らなければ致命傷を与えられない刀に遠間から当ててくる銃は相性が悪い。
それでも馬上の指揮官が余裕そうに眺めているのは数の有利さのせいなのか。

(分が悪い)

孫市は心中で悪態をついた。
どうにかしてここを突破しなければ。
二人が無理ならば、せめて政宗だけでも。

『殿方は笑いながら死地に向かいますから。死にに向かうのか、生きて帰るのかなど愛には一目見ただけではわかりませぬ』
城で孫市や政宗ら伊達軍を見送る愛姫の笑顔が忘れられない。
『殿を、政宗様を宜しくお願いいたします』
孫市のまめとやけど傷ばかりの固い手のひらを愛姫は握りしめてその黒曜石のように真っ黒い瞳をまっすぐに向けた。
『奥州一の姫様の頼みだ、死ぬ気で政宗を守りますから』
行軍を揃えよ、と馬上から怒鳴る政宗に急かされて、柔らかな愛姫の指をゆっくりと剥がして孫市も伊達軍の隊列に混ざる。愛姫がまだ何か孫市の背中に告げていたが、それは歩兵と騎馬の足音に消えてしまった。




***




政宗の短銃と孫市の銃剣で囲む敵を遠距離から蹴散らしていく。
相手方には槍と刀の歩兵ばかりで、段々とその間合いは広がっていく。

「マジぃな、政宗」
「解っておるわ」

包囲は段々と緩まるも、二人が銃撃ばかり続け直接的な攻撃ができないせいか、脱出における最大のチャンスが見つからない。
こちらの弾切れ、または疲れによる瓦解を狙うようなまどろっこしい持久戦に政宗はぎりりと奥歯を噛み締める。
合理性と迅速さをモットーに掲げる政宗である。
自らの作戦で墓穴を掘ったとあればさぞプライドが傷つけられたことだろう。

「政宗ぇ」
「何だ」

なるべく神経を逆撫でしないように孫市は政宗の名前を呼んだ。
このままでは疲弊して二人とも敵の持久戦に倒れてしまうだろう。
そうなれば青葉山への帰還などできるはずがない。ならば、選ぶ手段はひとつしかない。

「俺が道を開ける。弾はお前が逃げるくらいまでは持つ。とお数えたら走れ、政宗」

鉛弾の入った袋を取り出して腰に縛り付けた。
三袋あれば政宗の突破の援護くらいできるだろう。
自分の命と引き換えにでも。

自分は傭兵だ。
だが政宗は違う。奥州王・伊達政宗である。
唯一無二の存在をここで消すわけには行かない。

「孫市、貴様はどうする」
「適当なとこでとんずらするさ。常陸下野って抜けて中山道かなんかに出て紀伊に戻るわ」
「……」
「ここでお別れだ政宗……いくぞ」

ひい、ふう、みい……
孫市は中腰で構えて敵前衛を狙う。
鎧に覆われていない場所に照準をあわせればあとは引き金を引くだけだった。

「いつつ、むつ……って、」

政宗!と数を無視して走り出す龍に向けて孫市は叫ぶ。
まだ半分も殺っていない。
それじゃあ自ら死ににいくだけだと孫市もその背中を追いかけて走る。

「何してんだよお前!死ぬぞ!」
「……なん!わしは死なん!」

政宗の特攻とも思える動きに敵がざわめく。
応戦するものもあるが、殆どはその鬼気迫る政宗の気にやられて戦意を喪失していく。
それでも群がる雑兵は少なくはない。
味方をも欺くかのような動きに孫市も唖然と立ち尽くすことしかできないでいた。

「わしはこんなところでは死なん!死ぬわけにはいかぬ、孫市貴様もじゃ!」
「……政宗」

政宗が振り返れば眼帯に覆われた瞳が孫市に真っ直ぐに向けられる。
疱瘡で眼球を抉り取られたはずの眼孔から強い意思と視線を感じ、孫市は漸く我に返った。
そうだ、なんでこんな日本のはじっこまできて自分はうんと年下の領主に仕えてるんだ。

「わしは生きる!生きて貴様と新しい世界を作る!」

美しい宝飾の太刀を振るう姿はまるで演舞のように美しい。
円を描くように滑らかに舞い、鮮やかな手並みで敵を薙ぎ倒していく。

「そう、だ…そうだな……そうだったな、あぁ、政宗!死ぬんじゃねえぞ!」
「わしを誰と思うておる、奥州王・独眼竜政宗ぞ!」

駆け寄ってそのまだ華奢な背中に肩ををあわせる。
背中越しにでも政宗の高揚する鼓動と嬉しそうな笑みが感じ取れた。
群がってくる的に銃を向ける。
弾薬が尽きるまで、銃身が燃え落ちるまで弾を撃ち続けよう、龍に仇なすモノを葬りつづけよう。弾薬はまだ尽きないだろう。
尽きたとしても政宗とならどんな死地でも引っくり返せる気がした。




***




結局敵中突破をして、本陣にたどり着いたのは夜明け前だった。
装束は泥に汚れ、刃が駆け落ち、銃身が焼き付いてぼろぼろだと言うのに、勝鬨をあげる前から側近の片倉小十郎などは説教を垂れていた。
御大将のすることか、単騎駆けの危険がわからないのか、しまいには孫市の監督不行届だと声を荒げてきたが、当の本人は耳栓が入ったかのように聞く耳を持たない。
『解っておるわ』『結果良ければ過程など構わぬ』『よくいっておく』と適当に返せば漸くの帰城の行軍が開始された。

「ちょっ…下ろせよ、政宗」
「黙れ」

政宗が男鹿栗毛に跨がるのは当然である。
だがしかし銃携帯の歩兵でしかない孫市が馬上に……しかも君主である政宗の腕に抱かれ行軍する様は異様であった。
歩けない傷い歩兵は戸板や大八車で牽かれていたし、第一孫市には重篤な怪我もない。

「俺は歩けるんだよ、政宗離せって」
「嫌じゃ」
「んだよ、片倉さんの視線が痛いんだが」
「気にするな」

手綱を握るのは政宗だ。
それに馬の先導には馬飼いの小姓がいる。
馬上の孫市はただただ政宗の腕の中で小さく収まっているだけしかできない。
政宗の顔を返り見ようと思うもその後ろから殺気にも似た気を送る小十郎のせいでそれも難しい。

「こうして孫市、お主とゆっくり触れあいたかった」
「何だよソレ」

手綱を握る腕を一本離して腰に巻き付ければ、孫市もその腕にそっと手を這わせた。たったそれだけで密着するお互いの体の熱に孫市はぶるりと肩を震わせる。

「命を懸けると気が高揚する、孫市貴様とて男子じゃ、相違なかろう」
「あぁ……まぁ、だけどよ。そういうのは青葉山帰って姫様とやりなよ」

抱き締められた腕の強さと背中にのし掛かる体重の中に熱く猛るものがあるのに気付いたが孫市は気づかない振りをする。
指摘したらきっとこの頭の切れる男に丸め込まれるから。
だから、城で待つ姫の名前を出した。
真っ白な肌柔らかな体、優しく馨る香……どれも孫市には無いものを彼女は持っていた。
それなのに何で政宗は彼女と同じく――いやソレ以上の執着を孫市に持つのだろうか。
聞きたいけれども聞きたくない。

「姫?何故愛が出てくるのだ、馬鹿が。今わしは貴様と話しておるのだ」
「奥さんと傭兵違いくらいわかんだろ、バカ宗」

政宗の腕を引き剥がそうともがけば、孫市の足が馬に当たったようで、二人の乗った騎馬がヒヒィンと戦慄いて、足をあげて暴れだす。

「うわっ」
「ふははは、何をしておる孫市」
「ご、ごめん」
「いや…構わぬ。綱を離せ……あとは小十郎に任せる。先に帰っておれ!」
「ちょ!」
「殿!」

暴れだす馬をいなし、小姓の先導を振りきると、隊列の先頭を抜けて青く新芽が薫る丘に駆け上がっていく。
小十郎と孫市の制止も聞かぬように政宗は風のように馬を駆っていく。

「あーあ、あんな遠くじゃねえの」
「こんな日もいいだろう」

丘の上から蟻の行進のような隊列を見て二人は笑いあった。

「さて孫市」
「ん?」

名前を呼ばれて孫市は振り返る。
政宗の栗毛の髪が日に浴びて金色に光っている。

「貴様はわしの羽じゃ」
「何だよ急に」

細い前髪の奥の隻眼が真っ直ぐに孫市に注がれる。

「例えよ」
「例え…」
「うむ、わしの片目が小十郎ならば、わしの心は愛、手足は家臣や兵となろう」

政宗の真っ直ぐな瞳がまだ春を迎えたばかりの奥州の空を見上げる。
政宗は現実主義者で、合理主義者で、ロマンチストだった。孫市も政宗に倣うように空を見上げた。
雲ひとつない真っ青な空だ。

何でこの殿様は平然と気障なことが言えるのだろう。
赤くなる顔を隠すように孫市が緑の丘に寝そべれば、政宗も倣うように隣に座り込む。

「恥ずかしいやつだな、おい」

さんさんと降りかかる太陽が眩しくて両腕で顔を覆えば赤くなった肌も隠れるだろう。
気障な台詞だけれども憂いも引け目も吹き飛んでしまうくらい孫市の中に染み渡ってくる。
政宗の気遣いや優しさを嬉しく感じてはいるが、声に出して素直に言えるはずもなく、顔から腕を外すと隣に座るまだ幼い君主を見上げた。

「つまんない世界ならお前を翼から切り落としてやるからな」
「ふんっ、望むところじゃ」

政宗の口角がつり上がりニヤリと笑みを作った。
奥州の蒼天に一羽ひばりが高い鳴き声を上げながら飛んでいった。


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