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【妄想擬人化SS】刹那の記憶【はやぶさありがとう記念】

宇宙開発をよく知らない人による小惑星探査機はやぶさ帰還SS
燃え尽きる前、糸川先生に会えてるといいよね



**刹那の記憶**


地球のとうさんたちから連絡が終了して僕は地球の引力に引かれてこの惑星へと還って行く。

最後に見た地球、とうさんたちみてくれたかな。
僕が落としたカプセル届いたかな。


地球の起動に入って星が引っ張る力の強さに驚いた。がさがさと空気の壁が僕を焦がした。

『君のからだは大気圏で燃え尽きてしまうかもしれない』

とおさんのひとりが言っていた
確かに僕のからだはぼろぼろで、とおさんのところには持ちそうにない、それも僕だってわかっていた。

『すまんな』

とおさんたちは、苦しそうにそう呟いた。
そんなこと言わないでよ。僕が消えても僕を越える弟や妹を作ってくれればいいんだよ。
イトカワより先にいける弟や妹を作ってくれれば、僕の存在意義は満たされる。

周回軌道上の姉さんたちに別れを告げて僕は還る、地球へと。




くぅっ、
体が熱い。落ちていく僕の体が高熱でどんどん燃えてしまっていく。
こうなる運命だとわかっていたけど、最後に、とおさんたちに会いたかった。


光のない宇宙を見上げる。僕のからだはもう肩から上しかいなかった。







『…ぶさ、はやぶさ』

消える直前に声がしたもうさしのべる手も、動かせる口もなかった。動かない頭で僕は目の前の男を見る。

『はやぶさ、おつかれ』

知らない声だった。
とうさんたちじゃないのにひどく懐かしい声。
消えていく僕におじさんの手が触れた。薄く消えそうな影。

『ありがとうはやぶさ。お前はわたしと日本の誇りだ』

笑っておじさんは優しく僕の頭を撫でた。

『糸川、とうさん』

小さく漏れた単語口が消えるまえに漏れた最後の一言。

俺のとうさん。
俺を産み出してくれたとうさん。
ありがとう、と言いたくなって口を開けようと思ったらもうすでに燃えたあとだった。

『おつかれ、わたしのかわいいはやぶさ。ありがとう、わたしの息子』

おじさんが笑った瞬間に視界が途切れた。
泣きそうなほどくしゃっとしたかおでおじさんは月を背に笑っていた。

ありがとう、僕のとおさん。
ありがとう、



ありがとう、はやぶさ

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そらちしいね
年齢:
124
性別:
女性
誕生日:
1900/04/14
職業:
事務員
趣味:
妄想
自己紹介:
空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

支部にも同時にUPしています。
(10932のみ支部限定)

現在視聴中(ツイッターリアタイ実況)のものは匿名、単車魔法使いです。
アニメ見れてないなあ・・・

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