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OVER!(虎不:FreeDL)

 おまたせいたしました~!
フリリク第三弾です!!!

今回は虎不ですおお!
チームとも仲良くなり始めたあきおちゃんですよ!


いや、二人乗りって憧れですよね、かわいいです!

耳をすませばからの永遠の萌えシチュ!!

乗って走るもよし!
押して走るもよし!
激坂を下るもよし!

なんてうまいんだ二人乗り!!!



FDLですが、コメいただけるとうれしーです!





続きは本文




  






**OVER!**






ペダルを踏み込む。
いつもよりも1人分多い自転車はスピード遅くバランスもひどく悪い。
車道へそして住宅街の壁へと蛇行を繰り返して定員以上の人を乗せた青い自転車は進んで行く。

「大丈夫ですかぁ?」
「あ゛~?」
「だ・い・じょ・う・ぶ・ですかぁ?不動さん!」

荷台に跨がり左手におかもち、右手はハンドルを握る不動の腰に回した虎丸は大きな声で叫ぶ。
ぎいぎいとチェーンが軋み路上のものにぶつかりそうになる不安な運転はひどく心臓に悪かった。

「大丈夫っ、だっ!」
「でもっ」

不動の声は上擦り白い首筋には珠のような汗が浮かんでいた。
虎丸の腕がかかる胴体は熱く火照っており、風を受けて冷えた手のひらが溶けてしまいそうだった。

「大変なら変わりますよ」
「ガキと交代できっかよ」
「でも僕、不動さんが苦しそうなのやです」

自動車に抜かされ、小学校低学年の子供にも抜かれ、電動機つき自転車のおばさんにも抜かれた。

進まない距離。
不動の体力だけがすり減って行く。

「あそこの公園で半分なんで休みましょ?ジュースのんで!」

ひと区画先に緑が見えた。
荒い息と進まない自転車に虎丸が休憩を提案すれば首筋から耳まで真っ赤にさせた不動も文句のひとつも言わずに漸くひとつ頷いた。

どうしてこうなったかと言えば、理由は単なる虎丸の我が儘で。
出前の帰りに偶然鉢合わせた自転車に乗った不動と少しでも一緒にいたくて本当に軽い気持ちで「乗せてってくださいよぅ」とおねだりをしたのがことの発端だった。
嫌がって「ガキは歩きで帰れ」と拒否されると思っていたが、現実は妄想より甘く、「しかたねーな、乗れよ」と上機嫌で不動は虎丸を荷台に乗るようにと笑顔でかえしてくれた。

家までだからな、という不動の後ろに跨がり進み始めたのは30分前。
自分で走って帰った方が早いのは解っていたが、一分でも一秒でも二人っきりでいたくて。

「ふたりのりって大変なんですね」
「そりゃ重さが二倍だからな」

汗で額に貼り付く髪の毛を乱暴にかき回して不動は疲れた声で呟いた。
まだ残暑厳しく半袖でも汗がにじむ日が多い。
それでも日陰に入れば暑さは凌げるほどには秋に近づいているようだ。

「暑いですね」
「そーだな」

裾をつまんで風を扇ぎ入れる。
もう手にした缶ジュースは空だというのに木陰のなかの細やかな涼しさからもう離れがたくなってしまう。

「ほら、いくぞ」

立ち上がって不動が空いた缶を蹴りあげた。
アルミニウムの小さな物体はきれいな放物線を描いて数メートル先のゴミ箱へと吸い込まれていく。

「次はお前が前なんだろ」
「はい!」

カラカラと金属が鳴る音に小さく拍手を送った虎丸も釣られてたちあがる。

また灼熱のアスファルトの上に体を晒す。
引いていた汗が一気に吹き出した。



「よいしょっ……っと!」
「頑張れしょーがくせ~」

ふらふらと自転車は走り出した。
おかもちは篭に入れた。
不動の両腕は虎丸の細い腰にぐるっと巻き付けられる。

ふれあう場所がさらに暑くなる。
きっと虎丸の腹には不動の汗のあとがついてるに違いない。

「ここから、坂道なんで!」
「えー?」

不動が風に流れてうまく聞き取れない虎丸の声に問い返す。
坂道です!と叫んだ瞬間二人分の体重がかかった自転車が傾いて一気に滑り出した。

「そーゆーのは先に言え!」
「言いましたよ!」
「きこえねーっ」

重力に任せて重量オーバーの自転車はどんどんと加速していく。

振り落とされまいとさらに強く回された腕に虎丸の鼓動がはね上がる。
加速していく自転車のように心拍数も早足になる。
背中にぴたりとくっついた熱い不動のからだでさえ心地いい。

「ふどうさん!」

「あ!?」
「好きです!」
「なんだぁ?」

さっきまで後部座席に座っていたからこの声が伝わらないのは解っていた。
解っていたけれども

「す」

「き」

「んぁ?マジ聞こえねえよ!何だよ」

背中で叫ぶ不動の声さえもシャーっと音をたててタイヤが回るなかではうまく伝わらない。
しゃべるたびに背中にかかる吐息が更に自転車と虎丸の鼓動を加速させていって。




「す」


「き」


「で」


「す」


「!」


叫んだ。

聞こえないとわかっても叫んだ。
伝わらなくても伝えたかった。

叫ばなければどうにかなりそうなほど、虎丸の鼓動はスピードオーバーで、好きだと思う気持ちは重量オーバーだったから。

叫んだ。
ぐっと聞こえていないはずの不動の体重が虎丸にのし掛かる。






「俺も、好きだよ」


坂の途中で急ブレーキをかけた。
さっきまで全く聞こえていなかった音が虎丸に届いて振り替える。

「ふどう、さん?」
「……んだよ、前向いてさっさと走れあちーだろ」
「は、はい!」

虎丸の背中にぴたりと額をあてた不動の顔は見えない。
隠れるようにして伏せられた顔は見えなくても真っ赤にそまった耳と首筋は顕になったまま炎天下の空の下にさらされていて、虎丸もつられて赤くなってしまう。

「さっさと行けよ!」
「はい!」

ペダルを踏み込む。
更に上がるスピード。
重量オーバーの自転車は坂を滑るように下っていく。



『重いものは早く坂道を転がります』

理科の授業で先生が言っていたのは本当だった、と虎丸は笑った。
ふたりの思いをのせて自転車は加速する。

「あとちょっとです!」
「あ?」
「あと、ちょっと!」

坂道の先に見慣れた看板が見えた。


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1900/04/14
職業:
事務員
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妄想
自己紹介:
空知椎音です。
日記という名の萌がたり・妄想垂れ流し、アニメリアタイ実況、マンガ感想などはだいたいツイッターで垂れ流しています。
こちらは完全に小説置き場になっていますので、日常日記はほぼありません。

支部にも同時にUPしています。
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現在視聴中(ツイッターリアタイ実況)のものは匿名、単車魔法使いです。
アニメ見れてないなあ・・・

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